最新記事

アフリカ

法王訪問中のアフリカ貧困地域にテロ予備軍4100万人

2015年11月27日(金)13時40分
コナー・ギャフィー

 ケニアの会談で法王は、若者がしばしば「宗教の名の下に過激化し、対立と恐怖の種を撒き、社会の根幹をズタズタに引き裂く」と語った。これに同意したケニア・イスラム最高評議会のアブドゥルガフール・エルブサイディ議長は、「世界は無謀な戦争に覆われている。イスラムはますます蛮行の根源と見られている」と語った。

 さらに法王は、貧困が人々を暴力と過激派活動に追い込んでいる、とも指摘した。ケニアのウフル・ケニヤッタ大統領と会談した法王は、「経験則として、貧困と失望が恐怖と不信、絶望を生み、それが暴力と衝突、テロの温床となる」と語った。

 アフリカでは、サハラ砂漠の南側に広がるサヘル地域に、最も貧しい国々が連なり、4100万人の若者が過激派に加わるリスクにあると言われている。国連事務総長サヘル地域特使のイルーテ・ゲブレ・セラシは国連安全保障理事会に対して、サヘル地域の若者が「絶望に直面」し「大規模な移住や、テロ集団や個人の活動への勧誘、訓練の温床」となる危機にあると訴えた。

 アフリカ大陸を横断するサヘル地域には、ブルキナファソ、チャド、モーリタニア、ニジェール、マリなどの国々が含まれる。先週末、マリの首都ババコで高級ホテルが襲撃されて外国人客ら約20人が殺害された事件では、アルカイダ系のテロ組織が犯行声明を出している。

 セラシ特使によると、サヘル地域の児童の44%が小学校に通っておらず、識字率は36%にとどまっているという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシアがウクライナを大規模攻撃、3人死亡 各地で停

ワールド

中国、米国に核軍縮の責任果たすよう要求 米国防総省

ビジネス

三井住友トラスト、次期社長に大山氏 海外での資産運

ビジネス

台湾の11月輸出受注、39.5%増 21年4月以来
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    【外国人材戦略】入国者の3分の2に帰国してもらい、…
  • 5
    「信じられない...」何年間もネグレクトされ、「異様…
  • 6
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 7
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 8
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 9
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 10
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 9
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 10
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中