最新記事

EU

ポーランド右傾化で高まるEUとの対立懸念

難民受け入れ反対の保守系野党「法と正義」が圧勝、8年ぶりの政権交代へ

2015年10月27日(火)16時44分

10月26日、ポーランドで25日に実施された総選挙で、欧州連合に懐疑的な姿勢を示し、難民受け入れに反対する保守系野党「法と正義(PiS)」が圧勝し8年ぶりに政権交代する見通しとなったことを受け、EU指導部に懸念が広がっている。ワルシャワで2011年6月撮影(2015年 ロイター/Kacper Pempel)

 ポーランドで25日に実施された総選挙で、欧州連合(EU)に懐疑的な姿勢を示し、難民受け入れに反対する保守系野党「法と正義(PiS)」が圧勝し8年ぶりに政権交代する見通しとなったことを受け、EU指導部に懸念が広がっている。

 ポーランドは2004年にEUに加盟したが、法と正義が2005─07年に政権を担っていた当時、ポーランドがリスボン条約に反対し批准を遅らせたことや、域内での議決権拡大を要求したことなどをEUは忘れていない。

 EU当局者は「状況は一段と厳しくなるだろう」と指摘した。

 欧州では多くの国で反移民感情の高まりを背景に、極右のポピュリスト(大衆迎合的)政党への支持が急拡大しており、難民の大量流入が続いた場合、他の国でも政権交代につながる恐れがある。

 法と正義のカチンスキ党首は、穏やかな口調のシドゥウォ副党首を首相に指名したが、権力を維持してEUに戦いを挑む見通しだ。

 焦点となる難民問題だけでなく、ユーロや財政政策、中央銀行の独立性、気候変動、エネルギー政策、人権などの問題でもポーランドとEUは対立する可能性がある。

 EU当局者によると、ポーランド新政権は、同国とチェコ、スロバキア、ハンガリーの4カ国(ビシェグラード4カ国)にルーマニア、ブルガリアを加えて中東欧諸国を総動員し、欧州委員会が計画する難民受け入れ枠の義務化に反対する可能性もあるという。

ハンガリー首相の政策がモデルか

法と正義は、今後4年間にユーロを導入することはないとの立場で、銀行やスーパーマーケットチェーンへの新税導入によって社会的支出の拡大を賄う方針を表明している。これはハンガリーのオルバン首相が取った措置に似ている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ヤム・ブランズ、ピザハットの売却検討 競争激化で

ワールド

EU、中国と希土類供給巡り協議 一般輸出許可の可能

ワールド

台風25号がフィリピン上陸、46人死亡 救助の軍用

ワールド

メキシコ大統領、米軍の国内派遣「起こらない」 麻薬
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に「非常識すぎる」要求...CAが取った行動が話題に
  • 4
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 5
    これをすれば「安定した子供」に育つ?...児童心理学…
  • 6
    高市首相に注がれる冷たい視線...昔ながらのタカ派で…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    【HTV-X】7つのキーワードで知る、日本製新型宇宙ス…
  • 10
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中