最新記事

映画

恋人同士の「好き」より複雑──女性による女性たちの青春ラブコメ

A Gender-flipped Teen Comedy

2020年09月02日(水)15時15分
デーナ・スティーブンズ

頭でっかちな「ブックスマート」のモリー(左)とエイミーが高校生活最後の大勝負にでる ©2019 ANNAPURNA PICTURES, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

<ガリ勉、オタク、未経験、卒業パーティー......女の友情と音楽(と下ネタ)がはじける学園ドラマ『ブックスマート』>

女優オリビア・ワイルドの長編監督デビュー作『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』は、2007年の青春コメディー『スーパーバッド 童貞ウォーズ』と何かと比較される。

長年の親友同士で周囲から浮いている2人のティーンエージャーが、高校の卒業パーティーという未知の世界に飛び込み、徹夜で冒険を繰り広げる。頭の中は性的な妄想でいっぱいだが、最後は心温まる結末を迎えて──。

コメディー俳優の新世代が羽ばたいたことも2作の共通点だが、1つ重要な違いがある。『ブックスマート』の場合は監督、4人の脚本家、主演のビーニー・フェルドスタイン(『スーパーバッド』の主演ジョナ・ヒルの妹)とケイトリン・デバーなど、女性がチームを組んでいるのだ。

【関連記事】『レオン』が描いた少女の性と「男性目線」

女性監督による青春映画としては、17年の『レディ・バード』も記憶に新しい。親密だが複雑な女の友情、聡明なティーンエージャーの愛すべき背伸び、終わってしまう高校生活へのノスタルジー。

ただし、『ブックスマート』は確かに青春コメディーの王道だが、物語の核心である友情の描き方の濃さは、他の作品と一線を画している。モリー(フェルドスタイン)とエイミー(デバー)の関係は時に恋愛のように激しく、緊張も走るが、恋人同士の「好き」より複雑だ。

エイミーは、全くの未経験ながらレズビアン。モリーは、やはり未経験のストレート。2人はそれぞれ相手の専属ライフコーチであり、ワードローブコンサルタントであり、恋愛の応援団でもある。

エイミーは、スケートボードが得意なイケてる同級生女子ライアン(ビクトリア・ルエスガ)を見ているだけで胸がドキドキ。モリーは話し掛けろとエイミーをけしかける。

卒業生総代に選ばれた堅物のモリーは、エール大学に進学することが自慢。そんな彼女が、頭は軽量級のニック(メイソン・グッディング)への恋心を打ち明けると、エイミーは親友が行動を起こすチャンスを見つけようとする。

卒業式の前日、モリーの少々強引な主張で、2人はニックが主催するパーティーに行こうと決心する。ただし、問題があった。2人とも招待されていないこと。パーティーの参加者の誰とも仲良くないこと。そして、会場が分からないこと。物語の前半3分 の1は、パーティーが開かれる場所を突き止めることに費やされる。

めくるめく夜の行方は

ライドシェアのリフトで車を呼んだら、運転手は何と副業中のブラウン校長(実生活ではワイルドのパートナーのジェイソン・サダイキス)。ほかにもいくつかハプニングを乗り越え、2人が慕う担任ミス・ファイン(ジェシカ・ウィリアムズ)の助けを借りて、モリーとエイミーはニックのパーティーにたどり着く。

そこには陽気なバカ騒ぎと真実の愛(あるいは、それなりのセックス)が待っている──はずだった。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米11月小売売上高0.6%増、予想上回る 自動車販

ビジネス

米経常赤字、25年第3四半期2264億ドルに縮小 

ビジネス

インフレ緩和なら追加利下げの可能性=フィラデルフィ

ビジネス

規制緩和がインフレ押し下げへ、利下げを正当化=ミラ
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    「これからは女王の時代」...ヨーロッパ王室の6人の…

  • 3

    ハリウッド大注目の映画監督「HIKARI」とは? 「アイ…

  • 4

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

  • 5

    『Lの世界』が描いたレズビアンの物語を、ゼロから作…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚…

  • 3

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 4

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

  • 5

    同性愛を公表したらキャリアに傷が──クラシック音楽…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚…

  • 3

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 4

    アジア系男性は「恋愛の序列の最下層」──リアルもオ…

  • 5

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:総力特集 ベネズエラ攻撃

特集:総力特集 ベネズエラ攻撃

2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?