最新記事

ライフスタイル

「奨学金880万円」借りて大学進学した彼女が東京で見つけた仕事とは

2022年2月6日(日)08時18分
千駄木 雄大(編集者/ライター) *東洋経済オンラインからの転載

小さくはない出費を抱える今、志保さんは切り詰めた生活をしている......のかと言うと、そういうわけでもないようだ。

「私、節約ができないんです。服とか、高い買い物はさすがに控えていますけど、食費を切り詰めたりすることはできないし、しかも、在宅勤務が多いので、ついついUber Eatsとかも頼んじゃう。そのせいか、クレジットカードの支払いも、家賃や奨学金とは別で毎月15万円くらいあります。『貯金しなきゃな』とは思っているのですが、一回上げた金銭感覚を下げるのって難しいんですよね」

金銭感覚はさまざまである。ゆえに、月の支出がいくら以上なら散財しているなどと、わかりやすい基準で判断することはできないが、「自分でもそこまで使っている気がしない、何に使っているのかわからないんです」とのことで、どうやらちょこちょこ小さな出費を積み重ねるタイプらしい。

さて、ここで出てくるのが、志保さんが「借りすぎた」とインタビュー冒頭で語った奨学金の金額である。大学在学中、志保さんは第1種、第2種を合計して月々18万4000円借りていた。そこに、バイト代が平均で8万円ほど加わる。合計すると26万円強という数字になり、これは、志保さんの新卒時代の手取りよりも多い数字だった。

もちろんここから、授業料の自身の負担分や、家賃、交通費などを支払うので、全額を自由に使えるわけではなかったが、それでも毎月10万円程度は生活費や娯楽費に使っていたようだ。

この数字が多いか少ないかは人によって判断が分かれそうだが、「友達と旅行に行ったり、わかりやすい散財をした記憶はないんですよ」とのこと。

大きな出費をドカンとするより、小さな出費をコツコツ積み重ねるほうが記憶に残りにくいし、結果的に散財にもなりうる......という教訓話を、志保さんは地でいっているのかもしれない。

お金というものは概して、使うのは簡単な反面、稼ぐのは難しいものだ。そして、そのことを親や教師が教えてくれるとは限らない。

どの程度バイトできるかは、学業の忙しさにも影響を受けるため、実際に大学生活が始まる前に想像するのもなかなか難しいかもしれないが、今後奨学金を借りようと考えている高校生は、志保さんの例を参考にしてみてほしい。

千駄木 雄大

編集者/ライター
1993年、福岡県生まれ。出版社に勤務する傍ら、「ARBAN」や「ギター・マガジン」(リットーミュージック)などで執筆活動中。


※当記事は「東洋経済オンライン」からの転載記事です。元記事はこちら
toyokeizai_logo200.jpg




今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日鉄が経営計画、30年度に実力利益1兆円以上 海外

ワールド

タイ首相、トランプ氏と12日夜協議 カンボジアとの

ビジネス

EXCLUSIVE-日銀、次回会合で中立金利の推計

ビジネス

英GDP、8─10月は0.1%減 予想外のマイナス
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 2
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれなかった「ビートルズ」のメンバーは?
  • 3
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキャリアアップの道
  • 4
    【揺らぐ中国、攻めの高市】柯隆氏「台湾騒動は高市…
  • 5
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 6
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 7
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 8
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナ…
  • 9
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 10
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 10
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中