最新記事

株の基礎知識

株主優待、IPO、バリュー株......株式投資の恥ずかしいミス10選

2022年1月17日(月)11時30分
岡田禎子 ※かぶまどより転載
失敗

Sturti-iStock.

<人は「うまくいった話」を自慢したいもの。そのため「こんなミスをやらかした......」という赤裸々な体験談はなかなか聞けない。個人投資家の「恥ずかしい過去」を一挙に紹介する>

卵はひとつの籠に盛ってはいけません。

■1銘柄に全額投資して300万円の損

Kさんはインバウンドで資生堂<4911>が好調と知り、運用資金の全額を同銘柄に注ぎ込んでしまいました。その額、300万円也。

しばらくすると株価が3,000円から2,500円を割り込み、50万円の含み損になったため、Kさんは慌てて売却。ところがその後、株価は大幅に上昇します。しかしながら、もはやKさんには再度買う勇気も余裕も残っていませんでした。

運用資金に対して1銘柄の投資額が大きいと平常心が保てないことを知り、高い授業料だったとため息をつくKさんなのでした。

kabumado20220117failures-chart1.png

■バリュー株という名の万年割安株

「バリュー株投資はリスクが小さい」と聞いたLさんは、早速スクリーニングをして、数銘柄のバリュー株を購入しました。しかし、どれも株価が下落したままテコでも動かない「万年割安株」となってしまい、我慢し切れなかったLさんはすべて損切りしたそうです。

■IPOだけを追いかけた人の末路

新規公開株式(IPO)は、上場直後に株価が大幅に上がり、初値で売るだけで利益を上げられる例も多くあります。「これは儲かる!」と思ったMさんは、片っ端から抽選に申し込み、見事、中小型液晶パネルのジャパンディスプレイ<6740>の抽選に当選しました。

しかしMさんの期待とは裏腹に、同社株は900円の公募価格(つまりMさんの購入価格)に対して、ついた初値は769円。実に14.6%も下回ってしまいました。

kabumado20220117failures-chart2.png

優待株投資だから大丈夫ってほんと?

■優待タダ取りのはずが逆日歩発生!

株主優待をタダ取りしようと、Nさんは伊藤ハム<2284>(現在は上場廃止→伊藤ハム米久HLD<2296>へ)を「クロス取引」で購入しました。

ところが、予想もしていなかった「逆日歩」が発生。しかも米久との合併の影響で、逆日歩は1株あたり36円もつき、1,000株で5,000円相当だったはずの優待商品のハムが、実に3万6,000円という御歳暮並みの高級ハムになってしまいました。

kabumado20220117failures-chart3.png

■権利確定後に優待廃止の悪夢!

Oさんは、カタログ通販大手のニッセンHD<8248>(現在は上場廃止)を優待目当てで持っていました。ところが2015年2月、同社は業績悪化を理由に、前年12月に遡って株主優待を廃止することを発表。当然のように、株価も急落しました。

株主優待の内容の変更は、取締役会の決議だけで決定することができます。そのため、株主からすると突然変更されたり、廃止されたりすることがあり得るのです。業績の確認もせずに優待目当てだけで買ってしまったことを、Oさんはいまも後悔しています。

kabumado20220117failures-chart4.png

(参考記事)おいしい株主優待に隠された「思惑」を、企業の視点で考える

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ドイツ予算委、500億ユーロ超の防衛契約承認 過去

ビジネス

「空飛ぶタクシー」の米ジョビ―、生産能力倍増へ 

ビジネス

ドイツ経済、26年は国内主導の回復に転換へ=IMK

ワールド

豪首相、ヘイトスピーチ対策強化を約束 ボンダイビー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 9
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 10
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 5
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中