最新記事
トラベル

GWスタート 日本人観光客でにぎわう韓国旅行業界が抱える3つの課題とは

2023年4月28日(金)20時30分
佐々木和義
韓国の繁華街明洞で記念写真を撮影する旅行客

パンデミックが収まり海外からの観光客が戻り始めたソウルの繁華街・明洞。Kim Hong-Ji - REUTERS

<パンデミックが収まり、日韓双方に観光客が戻り始めたが......>

日本政府観光局(JNTO)が発表した2023年1月から3月の訪日外国人479万300人の3人に1人、16万700人が韓国人だった。また韓国法務部によると2023年1月から3月に韓国に入国した外国人181万7136人の5人に1人に相当する36万1121人が日本人で、いずれも外来者数2位以下をはるかに上回っている。

ソウルの繁華街にある明洞や東大門市場などは、日本人旅行者が目立って増えている。

その明洞と東大門市場の間に位置するベストウエスタンプレミアホテル国都は、宿泊者のおよそ6割を日本人が占めているという。ほかは韓国人が15%、日本以外の東アジアや東南アジアの旅行者が25%ほどとなっている。

ソウルを訪れる日本人旅行者の特徴は2つある。特定の目的をもたないこととコロナ・パンデミック前から韓国を訪れていたハードリピーターが多いことだ。

よりディープな韓国を楽しむ日本人

ホテル国都に宿泊する日本人のうち、ビジネス客は20%程度で、コロナ禍前は韓流や美容やエステ、化粧品など特定の目的をもつ旅行者が少なくなかったが、いまは特定の目的をもたない人が多いという。また旅行会社のパッケージツアー利用者は4割ほどで、半数以上が航空券とホテルを個別に手配するハードリピーターとなっている。

特定の目的をもたない日本人旅行者は、かつて旅行者と無縁だったスポットや店などを訪問する。その1つが広蔵(カンジャン)市場だ。広蔵市場は1905年、韓国初の庶民向け市場として誕生した。食品や衣類品、日用雑貨などを扱う小売店が集まる市民向け市場だが、屋台街は観光客で溢れ返っている。

海外旅行が閉ざされて、韓国全土からソウルを訪問する国内観光客が増えると、テレビ局がソウルの観光スポットとして取り上げた。観光客が増えて以降、価格上昇が著しいが、今年3月、日本テレビ「ザ!鉄腕!DASH!!」で紹介した影響もあり、日本人観光客も少なくない。

東大門市場の食品スーパーも同様だ。ノーブランド・ドゥータモール店は、大手小売チェーン、Eマートが運営する1人世帯や2人世帯など小世帯向けスーパーだ。生鮮や冷凍食品、加工食品が中心で、旅行者向け商品は皆無といえるが、日本人旅行者が目立つようになってきた。日本人には馴染みのないPB (プライベートブランド)が多く、同店を利用した日本人旅行者は、目的の商品がないと話しながらも菓子類を購入していた。

ビジネス
暮らしの安全・安心は、事件になる前に守る時代へ。...JCBと連携し、新たな防犯インフラを築く「ヴァンガードスミス」の挑戦。
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米政府閉鎖、国民は共和党を非難 トランプ氏支持率は

ワールド

台湾輸出受注、9月は前年比30%増 AI需要好調で

ワールド

ユーロ圏の銀行、ドル調達難で融資抑制のリスク=レー

ワールド

欧州首脳、ウクライナ停戦でトランプ氏提案への支持表
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 5
    TWICEがデビュー10周年 新作で再認識する揺るぎない…
  • 6
    米軍、B-1B爆撃機4機を日本に展開──中国・ロシア・北…
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 9
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 10
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 8
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 9
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 10
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中