最新記事

経済制裁

ロシア、デフォルト回避へ 約842億円分の国債の支払いドルで実施

2022年4月30日(土)14時57分
ロシア財務省

ロシア財務省は29日、これまで自国通貨ルーブルで行うとしていたドル建て債の支払いをドルで行ったと明らかにした。2021年3月撮影(2022年 ロイター/Maxim Shemetov//File Photo)

ロシア財務省は29日、これまで自国通貨ルーブルで行うとしていたドル建て債の支払いをドルで行ったと明らかにした。デフォルト(債務不履行)回避に向けた動きとみられる。

財務省は2022年満期債券について5億6480万ドル、24年満期債券について8440万ドル、合計6億4920万ドル(約842億万円)の支払いをドルで行ったとし、資金はシティバンクのロンドン支店に送られたと明らかにした。

両債券とも支払い期日は過ぎているが、30日間の猶予期間が設定されているため、最終的な期日は5月4日になっている。

米政府高官は、ロシアが米国で凍結された外貨準備金を使わずに支払いを行ったと確認したが、資金の出所は不明と述べた。

アデエモ米財務副長官はロイターに、米の制裁政策に「成功の兆し」が出ていると述べた。米国の投資家がドル建て国債の利払いを受けられる例外措置の期限は5月25日だが、延長の可否などについて明言を避けた。

デフォルトになお備え

ロシア側が支払いを発表する一方で、デフォルトに備えたクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の入札準備はなお進んでいる。

大手金融機関や投資会社で構成するクレジット・デリバティブ決定委員会は29日に会合を開き、ロシアの支払いに関する報道を確認した。しかし、「債務不履行の可能性に備えて」来週のCDS入札は準備をしているとした。

ロシア財務省によると、資金は支払いを代行する米シティバンクのロンドン支店に送金された。シティはコメントを控えている。

これとは別に、ロシアのズベルバンクは、米・英による対ロシア制裁措置によって当初の契約通り投資家に支払いを行うことができなかったため、2件のユーロ建て劣後債のクーポンをルーブルで支払ったと明らかにした。

ロシア国債上昇

ブローカーによると、ドル建て債履行の発表を受け、ロシア国債は価格が上昇、ドル建てで2倍近くになる銘柄もあった。

S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスによると、ロシアの5年物CDS(アップフロント方式)は64.333%となり、28日の76.4%から低下した。

指数算出会社MSCIのマネジングディレクター、アンディ・スパークス氏は、米の制裁例外措置が5月25日に失効すれば、デフォルトの可能性は大きくなると指摘し、投資家の多くは延長を予想していないとの見方を示した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・ロシア戦車を破壊したウクライナ軍のトルコ製ドローンの映像が話題に
・「ロシア人よ、地獄へようこそ」ウクライナ市民のレジスタンスが始まった
・【まんがで分かる】プーチン最強伝説の嘘とホント
・【映像】ロシア軍戦車、民間人のクルマに砲撃 老夫婦が犠牲に


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ和平交渉が2日目に、ゼレンスキー氏と米特

ビジネス

中国万科、償還延期拒否で18日に再び債権者会合 猶

ワールド

タイ、2月8日に総選挙 選管が発表

ワールド

フィリピン、中国に抗議へ 南シナ海で漁師負傷
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 5
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中