最新記事

経営

不安に応える 副業のメリットとデメリット

2022年1月26日(水)21時05分
中橋章好 ※経営ノウハウの泉より転載

個人が副業を始めるメリットとは?

■個人が副業を始めるメリット

企業が社員の副業を許可する上で、なぜ社員が副業を希望するのかも把握しておきましょう。個人が副業を始めるメリットは、以下の点が挙げられます。

●本業以外で収入を得られる
●空いた時間を有効に使える
●本業では得られない知識やスキルが得られる
●新たな人脈をつくることができる
●好きな仕事をすることで満足感が得られる

■個人が副業を始めるデメリット

また、副業を許可する前に、副業をすることによって社員にどのようなデメリットがあるかを認識してもらったほうがよいでしょう。個人が副業するデメリットとしては以下のようなことがあります。

●本業とのバランスをとりながら、体調管理をし、適度な休息・睡眠の確保することが難しい
●心身の疲労、ストレスから本業に影響する場合もある
●会社から認められない場合、発覚すると懲戒処分となる
●確定申告などの手続きの義務が発生する

企業が副業を許可する場合の注意点

さまざまなメリットやデメリットがある副業ですが、現実には、副業を希望する社員が増えているように感じます。副業を許可しようと検討している企業は、どのようなことに気を付けるべきでしょうか?

■副業の規程を整えよう

副業を希望する社員の中には、勤務先が副業を禁止しているため(あるいは許可が出ないため)、隠れて副業する社員も少なくありません。このように、隠れて副業することを"伏業"と呼ぶことがあります。

"伏業"は社員の副業の実態を把握できないため、労働基準法違反や情報漏洩など、企業にとってさまざまなリスクがあります。自社の社員が"伏業"をしないためにも、企業はできるだけ副業を受け入れ、その意図を明確にしておくべきです。具体的には、収入補てんのための措置なのか、もしくは、人材育成や啓発を促すための制度なのかによって、社員の副業の捉え方は異なります。

また、社員の副業を把握するためには、副業を許可制にし、許可基準を明確にしておいたほうがよいでしょう。例えば、会社情報漏えいの危険がないこと、本業の妨げにならないこと、などです。

このように、副業を許可する場合には、"許可申請手続"、"許可基準"をはじめ、"報告義務"、"許可の取消し"といった規程が必要になってくるでしょう。

実際に、運用が始まった場合には、個別の対応が求められるケースもあります。よく問題になる点としては、時間外・休日労働の命令、労働時間管理、職務専念義務の確認、情報管理の徹底などです。労働時間管理については、のちほど説明するので参考にしてみてください。

■副業時の労災保険を把握しよう

社員をもつ企業が加入する必要がある労災保険についても、社員の副業の場合の対応を把握しておいた方がよいでしょう。基本的に労災保険は、社員1人でも加入する必要がある制度のため、自社・副業先の両方で加入することになります。

副業をしている社員に労災保険を給付する際は、すべての雇用先の賃金額を合算した額を基礎として、保険給付額を決定します。詳細は、下記記事も参考にしてみてください。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

アマゾン、3年ぶり米ドル建て社債発行 120億ドル

ビジネス

FRB追加利下げは慎重に、金利「中立水準」に近づく

ビジネス

米雇用市場のシグナル混在、減速の可能性を示唆=NE

ワールド

中国、レアアース問題解決に意欲 独財務相が何副首相
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 3
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地「芦屋・六麓荘」でいま何が起こっているか
  • 4
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 7
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 8
    経営・管理ビザの値上げで、中国人の「日本夢」が消…
  • 9
    反ワクチンのカリスマを追放し、豊田真由子を抜擢...…
  • 10
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 10
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中