最新記事

日本企業

緊急事態宣言解除後の日本企業、テレワーク活用の「新しい生活様式」広がる

2020年5月26日(火)18時35分

新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言が全国的に解除され、国内企業も平時の運営体制に徐々に戻し始めている。ただ、在宅勤務からオフィス通勤への移行は段階的に進める企業が多く、感染拡大防止に向けて政府の専門家委員会が提唱する「新しい生活様式」を意識した取り組みが目立つ。都内で撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言が全国的に解除され、国内企業も平時の運営体制に徐々に戻し始めている。ただ、在宅勤務からオフィス通勤への移行は段階的に進める企業が多く、感染拡大防止に向けて政府の専門家委員会が提唱する「新しい生活様式」を意識した取り組みが目立つ。在宅勤務を広く活用し続ける「ニューノーマル(新常態)」を想定する企業も多い。

主な企業の取り組みは以下の通り。

◎日立製作所 緊急事態宣言の全面解除後の「新常態」を見据え、在宅勤務の活用を標準とした新たな働き方を2021年4月から正式適用する。週2―3日、約50%の在宅勤務を想定する。

職務を明確にするジョブ型人材マネジメントを必須と捉え、転換を進める。リモート環境で業務可能なIT環境を整備拡大し、4月下旬以降に約8万の同時接続を安定稼働。在宅長期化に対応し、産業医などのリモート相談窓口を設置。

7月末まで総括する。

当面の従業員支援として、6月から在宅勤務で必要な費用や、出社時のマスク・消毒液など感染防止対策に必要な費用として全従業員に1カ月あたり3000円の補助を支給する。在宅勤務のために購入した物品購入費用を補助する。

◎ソニー 3月下旬から実施している在宅勤務の原則は5月31日まで継続し、6月1日から段階的に緩和する。6月上旬はオフィスへの出勤率を全社の20%程度に抑制、3週目以降も30%程度に抑制する。

出社する場合、公共の交通機関は午前8時から9時半の混雑時の利用を避ける。感染者の発生に備え、同じ業務を担うメンバーをグループに分け接触人数を抑え、業務停止に至らないようにする。入館時には検温し、エレベーターの乗員数を制限する。

◎パナソニック 政府が提唱する「新しい生活様式」に対応した働き方を推進する。宣言解除後も時差出勤や在宅勤務を積極活用する。出張や会議もオンラインを引き続き活用。集会やイベントは、実施がやむを得ない場合は感染防止対策を前提に小規模で行う。

◎KDDI 引き続きテレワークを推奨し、職場環境が「3密」にならないよう管理する。ショップは都道府県の自粛要請解除の動向を踏まえて順次、通常営業を再開する。ニューノーマルに対応するため新たな働き方の取りまとめを進める。

◎GMOインターネット 在宅勤務を継続しながら出社勤務を再開する体制に移行する。6月上旬ごろからは週1─3日を目安に在宅勤務する体制にする。

在社時は常時マスクを着用し「3密」回避を徹底。対面での食事を禁止する。会議室の利用は部屋ごとの利用可能人数以内とし、扉は閉めない。取引先とも契約は電子契約のみとし、サービスの各種手続きから印鑑の使用を完全撤廃する。

◎キリンホールディングス 6月1日以降6月末まで。国内キリングループ社員約1万人を対象に、出社人数は上限30%まで。出社時はマスク着用必須、引き続き積極的きウェブ会議を活用すると共に、来客時など対面が必要な場合には ソーシャルディスタンスを確保するなどの感染予防・感染拡大防止の取り組みを行いながら徐々に活動を再開していく。

海外出張・渡航は私用も含め禁止。都道府県をまたいだ出張については、事業運営上必要性の観点から検討を行った上で実施するが、北海道・首都圏との不要不急の往来は 慎重に判断する。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・東京都、新型コロナウイルス新規感染10人 15人未満が12日連続
・新型コロナで5400人が死亡、NJ州高齢者施設で繰り返された悲劇
・「9月入学」は教育グローバル化のチャンス そもそも日本が「4月入学」になった理由とは?
・新型コロナの死亡率はなぜか人種により異なっている



20200602issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年6月2日号(5月25日発売)は「コロナ不況に勝つ 最新ミクロ経済学」特集。行動経済学、オークション、ゲーム理論、ダイナミック・プライシング......生活と資産を守る経済学。不況、品不足、雇用不安はこう乗り切れ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

タイ首相、カンボジアとの戦闘継続を表明

ワールド

ベラルーシ、平和賞受賞者や邦人ら123人釈放 米が

ワールド

アングル:ブラジルのコーヒー農家、気候変動でロブス

ワールド

アングル:ファッション業界に巣食う中国犯罪組織が抗
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 5
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 6
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 7
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 8
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 9
    「体が資本」を企業文化に──100年企業・尾崎建設が挑…
  • 10
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中