最新記事

ブレグジット

日産欧州トップ「イギリスが合意なきEU離脱すれば欧州事業モデルは持続不可能」

2019年10月11日(金)10時21分

日産自動車欧州部門のジャンルカ・デフィッシ会長は、英国が合意なき欧州連合(EU)離脱を強行し、輸出車に世界貿易機関(WTO)の10%の関税が課された場合、欧州のビジネスモデルが持続可能ではなくなるとの見解を示した。写真は英国北部にある日産のサンダーランド工場(2019年 ロイター/Phil Noble)

日産自動車欧州部門のジャンルカ・デフィッシ会長は10日、英国が合意なき欧州連合(EU)離脱を強行し、輸出車に世界貿易機関(WTO)の10%の関税が課された場合、欧州のビジネスモデルが持続可能ではなくなるとの見解を示した。

英北部サンダーランドにある同社の工場は英国にある最大の自動車工場で、昨年は国内生産の約3分の1を占めた。同社はまた、来週生産を開始する小型SUV(スポーツ型多目的車)「ジューク」に1億ポンドを投資してきた。

一方、EU離脱の期日は今月末に迫っており、英・EU間の合意がまとまる見通しはまだ立っていない。

デフィッシ氏は記者団に「当社の生産の70%に10%の輸出関税が課せられた場合、日産の欧州事業のビジネスモデル全体が危うくなる」と指摘。「合意なき離脱となった場合、つまりWTOの関税が適用された場合、持続可能ではなくなる」と続けた。

さらに、あらゆる可能性を検証しているとした上で、「合意なき離脱の場合に関税の適用を除外するよう求めている」と明かした。

日産は2016年にSUV「キャシュカイ」の次期モデルをサンダーランド工場で生産すると発表しており、同工場の従業員を約6000人程度に維持する上でも重要な決定だった。

デフィッシ氏はこの計画を進めると想定しているとした上で、合意なき離脱となった場合は何らかの対応が必要になるとも語った。ただ、「迅速に対応する必要性は認識しているが、合意なき離脱を巡る状況は大いに複雑であるため、迅速な決定はできないかもしれない」とした。

[サンダーランド(英イングランド) 10日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます




20191015issue_cover200.jpg
※10月15日号(10月8日発売)は、「嫌韓の心理学」特集。日本で「嫌韓(けんかん)」がよりありふれた光景になりつつあるが、なぜ、いつから、どんな人が韓国を嫌いになったのか? 「韓国ヘイト」を叫ぶ人たちの心の中を、社会心理学とメディア空間の両面から解き明かそうと試みました。執筆:荻上チキ・高 史明/石戸 諭/古谷経衡


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、次期FRB議長にウォーシュ氏かハセット

ビジネス

アングル:トランプ関税が生んだ新潮流、中国企業がベ

ワールド

アングル:米国などからトップ研究者誘致へ、カナダが

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、方向感欠く取引 来週の日銀
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナの選択肢は「一つ」
  • 4
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 5
    【揺らぐ中国、攻めの高市】柯隆氏「台湾騒動は高市…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 8
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 9
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 10
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 7
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中