コラム

「クレムリンの殺し屋」プーチンに相応しい最期は近付いている...MI6などが分析

2022年07月23日(土)17時10分

プーチン氏を権力から取り除く安全で確実な方法とは

「プーチン氏を権力から取り除く安全で確実な方法はウクライナがロシアを軍事的に打ち負かすことだ。そうすれば日露戦争と第一次大戦に敗れたニコライ二世(帝政ロシア最後の皇帝)と同じ運命がプーチン氏を待ち受けている」(スウィーニー氏)

同氏によると、ロシアの大砲は射程10~15マイル(約16~24キロメートル)しか届かないが、ウクライナに計16基が配備される「切り札」米M142高機動ロケット砲システム「ハイマース」の射程は40マイル(約65キロメートル)だという。

リーチの長いボクサーが有利なように、7月になってロシアの武器庫が「ハイマース」によって破壊されるようになり、ウクライナは射程の長い多連装ロケットシステムや榴弾砲、弾薬の到着を待っている。スウィーニー氏は「キーウには東部ドンバスやクリミア半島出身者が多いので、ロシア軍をウクライナから完全に追い出すことを望んでいる」と語る。

「プーチン氏が通っていた柔道とソ連の格闘技サンボの教室の指導者はギャングだった。その墓碑銘には『マフィアは不滅だ』と刻まれている。スパイになる前、プーチン氏はギャングだった。ギャングの鉄の掟は忠誠だ。プーチン氏はギャング仲間に忠誠を尽くしたが、同時に忠誠を求めた。プーチン氏の仲間たちはいま孫と過ごすため引退したがっている」

「プーチン氏は自分の命を狙うかもしれない新顔がインナーサークルに入ってくるのを嫌っている。(ロシアの軍事的な敗北が確実になっても)クレムリン内にはプーチン氏を脅かす新興勢力は現れないだろう」とスウィーニー氏は断言する。

プーチン氏は1989年、ベルリンの壁が崩壊するのを旧東ドイツのドレスデンで目の当たりにした。

「ベルリンの壁が崩壊したように、プーチン氏は市民の抗議デモがロシア全土で沸き起こるのを恐れている。反体制派アレクセイ・ナワリヌイ氏を投獄したあと生かしているのも、徴兵制を全面的に導入できないのも大衆蜂起を恐れているからだ」とスウィーニー氏は語る。プーチン氏の「終わり」は着実に近づいている。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ユナイテッドヘルス、サイバー攻撃で米国人情報の3分

ワールド

原油先物4日ぶり反発、米の戦略備蓄補充観測で

ビジネス

英バークレイズ、イスラエルに武器供給する企業への投

ワールド

「外国人嫌悪」が日中印の成長阻害とバイデン氏、移民
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 9

    パレスチナ支持の学生運動を激化させた2つの要因

  • 10

    大卒でない人にはチャンスも与えられない...そんなア…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 9

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story