コラム

トランプがいようといまいと、アメリカは「持てる者たち」のための国

2025年12月20日(土)15時00分

マイアミ市長選で勝利した民主党系候補のヒギンズ(12月9日) JOE RAEDLE/GETTY IMAGES

<止まらない物価高でトランプの支持率はだだ下がり それでも金持ちによる金持ちのための国アメリカの社会構造は崩壊しない>

12月9日にフロリダ州マイアミで市長選挙があり、民主党系候補として約30年ぶりにアイリーン・ヒギンズが約60%の票を得て当選。トランプ米大統領が担いだ共和党系候補は敗退した。11月4日のニューヨーク市長選でも、過激な富の再分配を掲げる民主党のゾーラン・マムダニが大差で当選したばかり。

ウクライナ戦争の調停は堂々巡り。大騒ぎで世界各国に「指定した」高関税率は、国内で物価をつり上げたとして、国民から抗議の声が上がっている。そもそも関税率決定は大統領の権限にあらずとの見方を裁判所が示し、年末にも最高裁が最終評定を出す構え。トランプは就任1年を待たずして、はや転換点に差しかかった。来年は中間選挙の年だ。


すわ、民主党の逆襲が始まった。国は共和・民主の対立で内戦状態に......というのは、2024年の映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』の筋書きで、実際はそうなるまい。というのは、共和、民主両党とも「持てる者」の党というか、少なくともその政治資金を大企業に依存しているからだ。かつては製造業の労働者と労働組合に資金を依存した民主党は、製造業の国外流出でこれらの資金を失い、2000年代初頭には政治資金の大半を金融・ITを中心とする大企業に仰ぐようになった。

プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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