ニュース速報
ワールド

中国、一部レアメタルの対米輸出を禁止 通商摩擦が拡大

2024年12月03日(火)20時29分

12月3日、中国商務省は、ガリウム、ゲルマニウム、アンチモン、超硬度材料に関連する「デュアルユース(軍民両用)品目」の米国への輸出を同日から禁止すると発表した。写真は元素周期表のガリウムとゲルマニウム。イメージ写真。2023年7月撮影(2024年 ロイター/Florence Lo)

[北京 3日 ロイター] - 中国商務省は3日、ガリウム、ゲルマニウム、アンチモン、超硬度材料に関連する「デュアルユース(軍民両用)品目」の米国への輸出を同日から禁止すると発表した。国家安全保障と利益を守るためとしている。前日に米国は対中半導体規制を強化している。

米国向けに輸出されるグラファイトのデュアルユース品目について、エンドユーザーと最終用途に関するより厳格な審査を要求する。今回の措置は、中国政府が昨年初めから打ち出している重要鉱物の輸出規制に関し米国に対する運用を強化することになる。

商務省は「原則として、ガリウム、ゲルマニウム、アンチモン、超硬度材料の米国への輸出は許可されない」と述べた。

米政府は2日、中国の半導体産業に対する3年間で3度目の取り締まりを開始した。規制強化により、半導体装置メーカーの北方華創科技集団(ナウラ・テクノロジー・グループ)を含む140社への輸出が制限されることになった。

ガリウムとゲルマニウムは主要な半導体材料。ゲルマニウムは赤外線技術、光ファイバーケーブル、太陽電池の材料にもなる。

ただ、中国税関の統計によると、米国へのゲルマニウムやガリウムの加工品および未加工品の輸出は今年1─10月はゼロだった。前年、米国はそれぞれ第4位、第5位の輸出先だった。

また中国のアンチモンの輸出も、輸出規制の発効を受け10月は前月比97%急減した。

アンチモンは弾薬、赤外線ミサイル、核兵器、暗視ゴーグルといった軍用品のほか、バッテリー、太陽光発電設備などに使われる戦略金属。昨年は世界の鉱山生産の48%を中国が占めた。

コンサルタント会社のプロジェクト・ブルーによると、中国は今年、精製ゲルマニウム生産の59.2%、精製ガリウム生産の98.8%を占めている。同社の共同設立者ジャック・ベッダー氏は、「西側ではすでに原料入手が逼迫しており、サプライチェーンの緊張が一段と高まる」との見方を示した。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イラン、欧州諸国の「破壊的アプローチ」巡りEUに警

ビジネス

英製薬アストラゼネカ、米国への上場移転を検討=英紙

ワールド

米EV推進団体、税額控除維持を下院に要請 上院の法

ビジネス

マネタリーベース6月は前年比3.5%減、10カ月連
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引きずり込まれる
  • 3
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。2位は「身を乗り出す」。では、1位は?
  • 4
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 5
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 6
    世紀の派手婚も、ベゾスにとっては普通の家庭がスニ…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    あり?なし? 夫の目の前で共演者と...スカーレット…
  • 9
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中