ニュース速報
ワールド

中国のEU産豚肉調査、欧州委「懸念せず」 スペインなど対応要請

2024年06月18日(火)00時18分

 スペインのプラナス農相は17日、中国が欧州連合(EU)産豚肉の反ダンピング(不当廉売)調査を開始すると発表したことについて、スペイン産豚肉に対する関税導入を回避するため交渉を呼びかけた。マドリードで2016年3月撮影(2024年 ロイター/Paul Hanna)

[マドリード/ブリュッセル 17日 ロイター] - 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会の報道官は17日、中国がEU産豚肉の反ダンピング(不当廉売)調査を開始すると発表したことについて、懸念していないという認識を示した。

中国商務省は、EUから輸入する豚肉とその副産物に対する反ダンピング調査を17日から開始すると発表。主にスペイン、オランダ、フランス、デンマークを対象にしたものとみられている。

欧州委報道官によると、EUは中国当局の調査が世界貿易機関(WTO)の関連規則全てに順守することを確実にするため、適切に介入する構えという。

中国は調査について、中国畜牧業協会が6日に国内豚肉業界を代表して苦情を提出したものを受けた措置と説明している。しかしこの背景には、欧州委が先週、中国から輸入する電気自動車(EV)に最大38.1%の追加関税を7月4日から課す暫定措置を発表していることがあるとみられる。

スペインのプラナス農相は、スペイン産豚肉に対する関税導入を回避するため交渉を呼びかけ。記者団に対し「農産物や食品への関税導入を回避するため、理解や交渉の余地があると期待しており、そう予想している」と発言。中国側が調査は1年以上続く可能性があると表明しているため、直ちに措置が講じられるとは考えていないと述べた。

スペインの豚肉生産者団体インターポークによると、同国は昨年、中国に12億ユーロ(12億9000万ドル)相当の豚肉製品を輸出。中国向けは数量ベースで輸出全体の20.3%、金額ベースで13.7%を占めた。中国が輸入する豚肉の21%はスペイン産という。

デンマークの農業関連のロビー団体も「中国がEU産食肉の輸入を制限すれば、デンマークの豚肉業界は大きな打撃を受ける」と強調。全ての関係者に対し、雇用や食糧安全保障、生産への影響を考慮し、7月4日までに解決策を見つけるよう呼びかけた。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ABC放送免許剥奪、法的に不可能とFCC民主党委員

ワールド

アングル:EUの対中通商姿勢、ドイツの方針転換で強

ワールド

新潟県知事、柏崎刈羽原発の再稼働を条件付きで了承 

ワールド

アングル:為替介入までの「距離」、市場で読み合い活
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 5
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 6
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 7
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    幻の古代都市「7つの峡谷の町」...草原の遺跡から見…
  • 10
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中