ニュース速報

ワールド

インドネシア中銀、金利据え置き 今年の成長率予測を下方修正

2021年04月20日(火)19時30分

 4月20日 インドネシア中央銀行は主要政策金利の7日物リバースレポ金利を史上最低水準の3.50%で据え置いた。写真は2020年9月、ジャカルタで撮影(2021年 ロイター/Ajeng Dinar Ulfiana)

[ジャカルタ 20日 ロイター] - インドネシア中央銀行は20日、主要政策金利の7日物リバースレポ金利を史上最低水準の3.50%で据え置いた。

新型コロナウイルスの流行で打撃を受けた国内経済を下支えすることが狙い。追加利下げを実施すれば、一段とルピア安が進むとの懸念も浮上していた。

中銀は2021年の経済成長率予測を4.3ー5.3%から4.1ー5.1%に下方修正。ルピア相場の安定を維持する対策を強化する方針も示した。

ロイター調査では、アナリスト27人全員がルピア相場の安定を維持するため、主要政策金利を据え置くと予想していた。

7日物リバースレポ金利は2月以降、3.50%で据え置かれている。

翌日物預金ファシリティー金利と貸出ファシリティー金利も、それぞれ2.75%、4.25%に据え置いた。

中銀のペリー・ワルジヨ総裁は、世界経済の回復は当初の予想より力強く、インドネシアの輸出を下支えしていると指摘。ただ、新型コロナ対策の移動制限で内需の低迷が続いているとの見方を示した。

総裁は会見で「様々な指標によると、消費も回復しているが、最新データに基づくと、回復のレベルは、われわれの当初の予測を下回っている」と述べた。

総裁は、ルピア相場の安定を維持する対策を引き続き強化する方針も表明。ルピアは米国のインフレ期待や米国債利回りの上昇を受けて、売りが膨らんでおり、今年に入って3.2%値下がりしている。

中銀の発表を受け、ルピアは小幅に上昇した。

総裁は、ポートフォリオ投資の流入でルピアが引き続き上昇するとの見方も示した。

総裁は「現在の(ルピアの)為替レートと国債利回りは魅力的だ。このため、また多額ではないにしても、特に債券市場には資金が流入している」と述べた。

総裁は、景気回復を下支えするため、銀行融資に対する過去の金融緩和の効果波及ペースの加速と、国内のデジタル決済システムの支援を重視するとも発言した。

バンク・ダナモンのエコノミストは「中銀は当面、主要政策金利を据え置くだろう。インフレ率が上昇傾向にある中、ルピア安をこれ以上悪化させないよう配慮するはずだ」と述べた。

ロイターのアナリスト調査によると、中銀は政策金利を年内、現在の水準で据え置く見通し。一部のアナリストは2022年初めの利上げを予想している。

中銀当局者は、インフレ圧力の兆しが出るまで低金利を維持する方針を示している。3月のインフレ率は1.37%と7カ月ぶりの低水準だったが、中銀は年内に目標レンジ(2-4%)内に入ると予想している。

2020年の経済成長率は約20年ぶりにマイナス成長となったが、政府はワクチン接種の進展で4-6月の経済成長率が5四半期ぶりにプラスになるとの見通しを示している。

中銀は、新型コロナ危機からの回復を促すため、2020年以降、計150ベーシスポイント(bp)の利下げを実施。500億ドル以上の流動性を金融システムに供給し、融資規制も緩和した。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル急伸し148円台後半、4月以来の

ビジネス

米金利変更急がず、関税の影響は限定的な可能性=ボス

ワールド

中印ブラジル「ロシアと取引継続なら大打撃」、NAT

ワールド

トランプ氏「ウクライナはモスクワ攻撃すべきでない」
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パスタの食べ方」に批判殺到、SNSで動画が大炎上
  • 2
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機…
  • 5
    「このお菓子、子どもに本当に大丈夫?」──食品添加…
  • 6
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中…
  • 7
    約3万人のオーディションで抜擢...ドラマ版『ハリー…
  • 8
    「オーバーツーリズムは存在しない」──星野リゾート…
  • 9
    「巨大なヘラジカ」が車と衝突し死亡、側溝に「遺さ…
  • 10
    歴史的転換?ドイツはもうイスラエルのジェノサイド…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 9
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中