ニュース速報

ワールド

ミャンマー民主派結成の「統一政府」、ASEANに交渉呼び掛け

2021年04月19日(月)08時36分

 4月18日、ミャンマーのクーデターで実権を掌握した国軍に対抗し、民主派が新たに結成した「国民統一政府(NUG)」は近隣諸国に対し、危機解決に向けた交渉を呼び掛け、軍事政権を承認しないよう求めた。写真は国民統一政府支持を表明する市民ら、17日にヤンゴンで撮影。提供写真(2021年 ロイター)

[18日 ロイター] - ミャンマーのクーデターで実権を掌握した国軍に対抗し、民主派が新たに結成した「国民統一政府(NUG)」は近隣諸国に対し、危機解決に向けた交渉を呼び掛け、軍事政権を承認しないよう求めた。

東南アジア諸国連合(ASEAN)は、加盟国ミャンマーのクーデターを受けて、同国の危機への対応策を模索している。

国軍はこれまで近隣諸国や軍が追放した政府メンバーらと交渉する意向をほとんど示していないが、タイ政府当局者が17日に明らかにしたところによると、4月24日にインドネシアで開催されるASEAN首脳会議に、クーデターを主導したミン・アウン・フライン総司令官が出席する意向を示したという。

実権掌握後初の軍トップによる外国訪問で、海外首脳との会合となるとみられる。国軍はASEAN会議に関してコメントを出していない。

NUGの外務次官Moe Zaw Oo氏は、ASEANは軍事政権を承認すべきではないと指摘。18日に放送された米政府系放送局、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)ミャンマー語サービスのインタビューで「ASEANがミャンマー問題に関連した行動を検討しているのであれば、国民に支持され、完全な合法性を持つNUGと交渉しない限り、成功しないだろう」と述べた。

民主化指導者、アウン・サン・スー・チー氏の政党である国民民主同盟(NLD)の議員らを含む民主派は16日、NUGを結成すると発表した。NUGにはクーデター以降拘束されているスー・チー氏のほか、民主派デモの主導者らや少数民族も含まれている。

NUGは自らが合法な政府だとし、国際社会による承認やASEAN首脳会議への参加を求めている。

18日にはミャンマー各地で群衆が通りに出てNUGへの支持をアピールした。

また、メディアの報道によると、17日には中部モゴックで治安部隊がデモ参加者の2人を射殺。主要都市ヤンゴンでは複数の小型爆弾が爆発し、兵士1人が死亡、数人が負傷した。

ミャンマーの人権団体、政治犯支援協会(AAPP)によると、爆発の詳細は不明だが、デモ隊が爆弾攻撃を行っていると非難している国軍が17日深夜過ぎに掃討作戦を開始していた。

治安部隊によるデモ制圧ではこれまでに737人が犠牲になっているという。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、ベネズエラ石油「封鎖」に当面注力 地上攻撃の可

ワールド

英仏日など、イスラエル非難の共同声明 新規入植地計

ビジネス

ロ、エクソンの「サハリン1」権益売却期限を1年延長

ビジネス

NY外為市場=円が小幅上昇、介入に警戒感
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 2
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 7
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中