ニュース速報

ワールド

UAE代表団がイスラエル訪問、ネタニヤフ氏「歴史つくった」

2020年10月21日(水)10時53分

 アラブ首長国連邦(UAE)政府の代表団は20日、湾岸アラブ国として初めてイスラエルを訪問した。写真は、ムニューシン米財務長官、UAEのオバイド・フマイド・アル・タイル国務相を空港で出迎えるイスラエルのネタニヤフ首相、WAM提供(2020年 ロイター)

[エルサレム 20日 ロイター] - アラブ首長国連邦(UAE)政府の代表団は20日、湾岸アラブ国として初めてイスラエルを訪問した。国交正常化合意を強固にする狙いがあり、イスラエルと米国の当局者らは歴史的な訪問だと歓迎した。一方、パレスチナは「恥ずべき」行為だと非難した。

UAEとバーレーンはトランプ米大統領が仲介する形でイスラエルとの国交正常化に合意している。

UAEの代表団はアブドラ・ビン・トゥク・アル・マリ経済相とオバイド・フマイド・アル・タイル国務相(財務担当)が率いた。ムニューシン米財務長官を含むトランプ米政権の当局者らもUAE首都アブダビから同行した。訪問は、新型コロナウイルス感染の懸念があるため、テルアビブ近郊のベングリオン空港のみに限定された。

イスラエルのネタニヤフ首相は「何世代にも語り継がれる歴史を私たちはつくった」と強調。「これほどの高いレベルのUAE代表団の来訪は、イスラエル国民や地域、全世界に友好的、平和的な通常の交流のメリットを示すことになるだろう」とした。

訪問中には、投資の推進・保護、科学と技術革新での協力、民間航空機、査証(ビザ)免除に関する4つの協定が締結された。

タイル氏はこれらの協定は「双方の経済、国民の繁栄のための素晴らしい機会」を提供していると称賛。税務や金融関係に関する協議でも既に大きな進展があったとし、「近い将来」のイスラエル当局者のUAE訪問を待ち望んでいると表明した。

一方、パレスチナ解放機構(PLO)の幹部、ワセル・アブ・ユセフ氏はイスラエルが入植地を拡大する中でのUAE代表団の訪問は「恥ずべき」だと非難した。

ムニューシン氏は「歴史的な機会」が生まれたとし、「経済的繁栄が大きくなればなるほど、安全保障がより強固になる」と強調した。

イランへの懸念を抱く地域の大国が再編されている状況を反映し、ムニューシン氏はイスラエル、UAE、米国は「同地域の脅威と機会に関して同様の見通しを共有している」と述べた。

同行した米国際開発金融公社(DFC)トップのアダム・ボーラー氏は同3国が民間部門の投資と地域の協力を促進するために基金を設置すると明らかにした。当初は30億ドルの調達を見込んでいるという。

この基金によりイスラエルがパレスチナ人の通行を管理するために設けている検問所の近代化が可能になるとした。パレスチナ側は検問所が生活と労働を妨害していると批判している。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

自工会会長、米関税「影響は依然大きい」 政府に議論

ワールド

中国人民銀、期間7日のリバースレポ金利据え置き 金

ワールド

EUのエネルギー輸入廃止加速計画の影響ない=ロシア

ワールド

米、IMFナンバー2に財務省のカッツ首席補佐官を推
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中