ニュース速報

ワールド

新型コロナの「効果的治療法」、米医療従事者に懐疑的な見方も

2020年06月18日(木)01時56分

米国の医療従事者は、16日に発表された新型コロナウイルス感染症に効果的な治療について、期待を抱きながらも懐疑的な見方を示した。写真は抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」。ユタ州プロボで5月撮影(2019年 ロイター/George Frey)

[16日 ロイター] - 米国の医療従事者は、16日に発表された新型コロナウイルス感染症に効果的な治療について、期待を抱きながらも懐疑的な見方を示した。新型コロナの有力な研究結果が最近撤回されたことに言及し、データを見て確認したいと述べた。

世界的に新型コロナの治療薬やワクチンの開発が急がれる中、研究結果を報告する手順も速まっているが、治療法に効果があるのかどうかを巡り混乱が生じている。今月は新型コロナの有力な治療法として英医学誌「ランセット」で発表された研究結果が、データへの懸念から撤回された。

一方、英国の研究チームは16日、ステロイド系抗炎症薬の「デキサメタゾン」の投与で新型コロナ感染症の重症患者の死亡率が約30%低下したと発表。極力早く研究の詳細を公表できるように尽力すると述べた。

ハーバード大学の関連機関であるマサチューセッツ総合病院で集中治療室の局長を務めるキャサリン・ヒバート医師は「これまでも落胆したことはある。研究結果で喜び、データが公表されると、それほど説得力がないということは、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)中だけでなくそれ以前からあった」と述べる。

ヒバート氏は、データが公表されれば研究結果を吟味し、どの患者が最も恩恵を受け、どの投与量だったかを知ることができると指摘。「研究結果が本当だったことを非常に期待している。患者を助ける上で大きな前進となる」とした上で、現時点で治療法を変えることはないと話した。

ニューヨーク州最大の医療システム、ノースウェルス・ヘルスで副医長を務めるトーマス・マッギン医師は、ステロイドは免疫力を抑えると警告。ノースウェルス・ヘルスでは個々の状況に応じてステロイドを使っているという。「研究結果が撤回されるようなことがある昨今、今回の研究もよく検証する必要がある」とし、「実際のデータを見るまで待つ。査読を経たか、信頼性ある出版物に載るかを見る」と述べた。

ワシントン大学のマーク・ウルフェル医学教授は、研究結果を正式に発表する前にデータを公表するように呼び掛けた。「われわれの患者数と照らし合わせ、われわれの患者の治療に適切かどうかを判断する上で非常に助かる」と語った。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ウーバー第3四半期利益は予想に届かず、訴訟関連費

ワールド

自動車大手、USMCA「生産に不可欠」 米政権に延

ビジネス

NY外為市場=ドル、対ユーロで4カ月ぶり高値 米の

ワールド

トランプ氏、「マムダニ氏に投票のユダヤ人は愚か者」
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に「非常識すぎる」要求...CAが取った行動が話題に
  • 4
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 5
    これをすれば「安定した子供」に育つ?...児童心理学…
  • 6
    高市首相に注がれる冷たい視線...昔ながらのタカ派で…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    【HTV-X】7つのキーワードで知る、日本製新型宇宙ス…
  • 10
    「白人に見えない」と言われ続けた白人女性...外見と…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中