ニュース速報
ビジネス

トヨタ、10車種を出荷停止 豊田織機のエンジン出力試験不正で

2024年01月29日(月)17時57分

 1月29日、トヨタ自動車は、豊田自動織機に委託した自動車用ディーゼルエンジン3機種の出力試験で違反行為が確認されたエンジンを搭載した車両の出荷をいったん停止すると発表した。写真はトヨタのロゴ。2017年3月、タイのバンコクで撮影(2024年 ロイター/Athit Perawongmetha)

Maki Shiraki

[東京 29日 ロイター] - トヨタ自動車は29日、グループの豊田自動織機(以下、豊田織機)に開発を委託していた自動車用ディーゼルエンジン3機種の出力試験で違反行為があったとして、このエンジンを搭載した車両の出荷をいったん停止すると発表した。

対象車両は「ランドクルーザー300」や「ハイラックス」など10車種。このうち日本では6車種。豊田織機によると、搭載車両の2022年度の国内販売台数は計約8万4000台だった。

豊田織機は、エンジンの出力試験時、量産用とは異なるソフトを使ったECU(電子制御ユニット)を使ってエンジンの出力性能を測定し、測定数値が安定するようにばらつきを抑えて報告していた。同社は「試験の際、燃料噴射量を調整し、出力・トルクカーブについて見栄えの良いデータ」にしていたという。

トヨタは、該当するエンジンと車両の量産品をあらためて検証し、エンジン出力基準を満たしていることは確認済みで、直ちに車両の使用を停止する必要はないとしている。

豊田織機の伊藤浩一社長は同日会見し、顧客、販売店、仕入先、監督官庁など関係者に「多大な迷惑をおかけした」と謝罪。「極めて重大に受け止め、深く反省している」と述べた。不正の原因として「トヨタとのコミュニケーション不足」を指摘。法令順守意識の欠如と開発生産を進めるために必要な「組織・体制が不十分だった」と説明した。

トヨタは、グループ企業のダイハツ工業に続き、豊田織機でも不正が繰り返されてきたことを受け、「認証を行うメーカーとしての根幹を揺るがす事態であると大変重く受け止める」とした上で、「豊田自動織機のエンジン事業の再生に向け、継続的にサポートしていく」とコメントした。

豊田織機は同日、フォークリフト用エンジンの認証試験を巡る特別調査委員会の調査で、フォークリフト用エンジンでの不正が拡大したことや、新たにトヨタ向けの自動車エンジンでも不正行為が確認されたことを公表した。

国土交通省は30日午前9時から、豊田織機の碧南工場(愛知県碧南市)に立ち入り検査を実施する。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエルとハマスが間接協議開始、トランプ氏「永続

ビジネス

米EVルーシッド、第3四半期納車台数は47%増 駆

ビジネス

カンザスシティー連銀総裁、追加利下げに慎重 現行政

ワールド

米上院、つなぎ予算案5回目の否決 政府閉鎖7日目突
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレクトとは何か? 多い地域はどこか?
  • 2
    祖母の遺産は「2000体のアレ」だった...強迫的なコレクションを受け取った男性、大困惑も「驚きの価値」が?
  • 3
    赤ちゃんの「耳」に不思議な特徴...写真をSNS投稿すると「腎臓の検査を」のコメントが、一体なぜ?
  • 4
    一番お金のかかる「趣味」とは? この習慣を持ったら…
  • 5
    筋肉が育つだけでは動けない...「爆発力」を支える「…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃の「オーラの違い」が話題…
  • 7
    「不気味すぎる」「昨日までなかった...」ホテルの天…
  • 8
    「美しい」けど「気まずい」...ウィリアム皇太子夫妻…
  • 9
    監視カメラが捉えた隣人の「あり得ない行動」...子供…
  • 10
    イエスとはいったい何者だったのか?...人類史を二分…
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 3
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 6
    赤ちゃんの「耳」に不思議な特徴...写真をSNS投稿す…
  • 7
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 8
    更年期を快適に──筋トレで得られる心と体の4大効果
  • 9
    MITの地球化学者の研究により「地球初の動物」が判明…
  • 10
    祖母の遺産は「2000体のアレ」だった...強迫的なコレ…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 7
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中