ニュース速報

ビジネス

トヨタ、渉外活動と温暖化対策との整合性を精査 年内に情報開示 

2021年04月19日(月)21時20分

 4月19日 トヨタ自動車は渉外活動が地球温暖化防止の国際的枠組みであるパリ協定の長期目標に整合しているかどうかを精査し、年内に情報開示すると発表した。温暖化対策に対する姿勢が積極的ではないとして、投資家や活動家が同社への圧力を強めていた。写真は2017年11月、米ロサンゼルスで開かれた自動車ショーで撮影(2021年 ロイター/Mike Blake)

[東京 19日 ロイター] - トヨタ自動車は19日、渉外活動が地球温暖化防止の国際的枠組みであるパリ協定の長期目標に整合しているかどうかを精査し、年内に情報開示すると発表した。温暖化対策に対する姿勢が積極的ではないとして、投資家や活動家が同社への圧力を強めていた。

2019年に米カリフォルニア州と当時のトランプ政権が争った排ガス基準の訴訟を巡り、トヨタやゼネラル・モーターズなど複数の自動車メーカーが政権側を支持。トランプ政権は独自基準を設定した州の権限を取り消し、州が撤回を求めて訴訟を起こしていた。

投資家や活動家はトランプ政権側についた自動車メーカーを批判、温暖化対策に対する姿勢を改めるよう圧力をかけた。米国でバイデン政権が発足した後の今年2月、トヨタなどは前政権側への支持を撤回した。

トヨタはこの日出した声明で、「渉外活動がパリ協定の長期目標に整合しているかどうかのレビューと情報開示を年内に実施する」と発表。多くのステークホルダー(利害関係者)に理解してもらえるように「充実した情報開示に努める」とした。

トヨタの広報担当者はロイターの取材に対し、渉外活動にはロビー活動も含まれているとした上で、投資家からの圧力を受けているかどうかについてはすぐに答えられないとした。

トヨタに圧力をかけているのは、運用資産の合計が約2350億ドルに上る4つのファンド。6月の定時株総会前に、地球温暖化防止に向けた国際的な取り組みに反するロビー活動を停止するようトヨタに求めている。

このうち、デンマークの年金基金アカデミカ―ペンションのJens Munch Holst最高経営責任者(CEO)はロイターに対し、「今回の(トヨタの)動きは宣伝活動で終わってはいけない。気候変動に対するネガティブなロビー活動に、明確に終止符を打つものでなければならない」と語った。

同基金の広報担当者、Troels Børrild氏によると、トヨタとは第三者を通じ、10年にわたってコミュニケーションを取ってきた。今は「直接的で集中的なコミュニケーションで(要求を)強めている」という。トヨタが約束を実行できなかった場合、来年の株主総会に提出する株主決議を準備するとしている。

HolstCEOはロイターに対し、「これまでトヨタは、英国政府が2030年までに内燃機関の使用を禁止することに反対したり、米国での自動車燃費基準に反対したり、気候変動対策を繰り返し弱体化させてきた」と語った。

ロイターがトヨタに対し、HolstCEOのコメントに対する見解を求めたところ、少し時間を要すると回答した。

同基金のほか、英国国教会年金理事会とスウェーデン公的年金AP7、ノルウェーの金融機関ストアブランドもトヨタへの圧力を強めている。

(Aaron Sheldrick)

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

過度な為替変動に警戒、リスク監視が重要=加藤財務相

ワールド

アングル:ベトナムで対中感情が軟化、SNSの影響強

ビジネス

S&P、フランスを「Aプラス」に格下げ 財政再建遅

ワールド

中国により厳格な姿勢を、米財務長官がIMFと世銀に
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 2
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口減少を補うか
  • 3
    大学生が「第3の労働力」に...物価高でバイト率、過去最高水準に
  • 4
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 5
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 6
    【クイズ】世界で2番目に「金の産出量」が多い国は?
  • 7
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 8
    疲れたとき「心身ともにゆっくり休む」は逆効果?...…
  • 9
    ビーチを楽しむ観光客のもとにサメの大群...ショッキ…
  • 10
    【クイズ】世界で2番目に「リンゴの生産量」が多い国…
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 3
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 4
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 5
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 6
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 10
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中