ニュース速報

ビジネス

日産が5000億円融資枠を要請、3メガ銀と政投銀に=関係筋

2020年04月09日(木)17時45分

 関係筋によると、日産自動車が三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行と日本政策投資銀行に計5000億円規模のコミットメントライン(融資枠)の設定を要請した。写真は2019年2月、都内のショールームで撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-hoon)

[東京 9日 ロイター] - 日産自動車<7201.T>がみずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行の3メガバンクと日本政策投資銀行(政投銀)に計5000億円規模の融資枠(コミットメントライン)の設定を要請した。複数の関係筋が9日、明らかにした。

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で新車需要が落ち込み、販売が低迷、国内外の工場も一時、生産停止に追い込まれている。感染の終息が見えない中、日産は事態の長期化に備え、資金調達の手段を確保しておきたい考えだ。

関係者によると、日産側が計5000億円規模の融資枠設定を求めており、3メガバンクと政投銀との間で具体的な融資額などを今後詰める。政投銀は「危機対応融資」と呼ばれる枠組みを活用した融資になる見通し。

危機対応融資とは、災害や金融危機などで業績が一時的に悪化した場合に融資を受けられる制度。同じく新型コロナで事業環境が悪化している航空会社の全日本空輸などを傘下に持つANAホールディングス<9202.T>もこの制度を使い、資金調達する方向で要請している。

日産は2018年11月に前会長カルロス・ゴーン被告が逮捕されて以降、経営が混乱。ゴーン被告の積極的な販売拡大路線も裏目に出て販売が低迷する最中に新型コロナの感染が世界的に広がり、業績悪化にさらなる追い打ちをかけている。

販売低迷で売り上げは減っても人件費などの固定費はかかるため、資金は流出する一方だ。5月には事業再生に向けた中期計画を発表する予定だが、生産能力や人員の削減など追加リストラ策を実施するにも費用がかかることから資金調達できる体制を整えておく。

日産の手元資金は19年12月末時点で現預金が約1兆2000億円、有価証券が約2100億円となっている。同社の広報担当者は「現在の事業運営には十分なキャッシュがあるが、将来起こり得る危機に備え、さまざまなオプションを検討している」と述べた。融資枠設定に関する詳細についてはコメントを控えた。

日本の自動車メーカーでは、日産のほか、トヨタ自動車<7203.T>も資金の確保に動いている。トヨタは三井住友銀行と三菱UFJ銀行に計1兆円の融資枠設定を要請、銀行側も応じる方針。トヨタの手元資金は約6兆円と日産に比べ財務基盤は盤石だが、感染拡大で同社の工場も世界中で停止しており、いつ新車需要が回復するか不明な中、万が一に備えている。

*内容を追加しました。

(田実直美、梅川崇、白木真紀)

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ミャンマーで総選挙投票開始、国軍系政党の勝利濃厚 

ワールド

米、中国の米企業制裁「強く反対」、台湾への圧力停止

ワールド

中国外相、タイ・カンボジア外相と会談へ 停戦合意を

ワールド

アングル:中国企業、希少木材や高級茶をトークン化 
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌や電池の検査、石油探索、セキュリティゲートなど応用範囲は広大
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    【クイズ】世界で最も1人当たりの「ワイン消費量」が…
  • 10
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中