ニュース速報

ビジネス

FRB、必要に応じて短期市場安定化措置を調整へ=NY連銀総裁

2019年10月18日(金)10時55分

 10月17日、米ニューヨーク連銀(NY連銀)のウィリアムズ総裁は、連邦準備理事会(FRB)は銀行システムの流動性を強化する措置を講じながら資金需要への対応策について学んでおり、必要に応じて政策手段を調整すると表明した。写真はNY連銀。4日撮影(2019年 ロイター/Carlo Allegri)

[ニューヨーク 17日 ロイター] - 米ニューヨーク連銀(NY連銀)のウィリアムズ総裁は、連邦準備理事会(FRB)は銀行システムの流動性を強化する措置を講じながら資金需要への対応策について学んでおり、必要に応じて政策手段を調整すると表明した。ファンド業界団体が主催したイベントで語った。

9月半ばに見られた資金ひっ迫の原因となった現象は想定通りだったとし、9月半ばを期限とする法人税納付や国債入札決済は、市中銀行の準備預金の需要を高めるとNY連銀は認識していたと述べた。

ただ、支払額の規模や短期金利への影響は「最近の経験とは異なっていた」と述べた。

短期金融市場の不安定化を受け、金融調節を担うNY連銀は、レポ市場での公開市場操作(オペ)を通じて大量に資金を供給し、金利の安定を図ってきた。

FRBは前週、レポ取引を通じた臨時の資金供給を来年1月まで継続すると表明した。また、銀行システムの準備預金の量を強化するため、月額約600億ドルの短期国債の買い入れを行うと発表した。[nL3N26W3YA]

ウィリアムズ総裁は、民間銀行の準備預金量が9月初旬の水準を下回った際に短期金融市場にストレスが生じたが、臨時オペによって準備預金が再び増えるとストレスが緩和されたことに当局者は気づいたと説明。これが、FRBによる短期国債の買い入れを通じて準備預金の量を拡大する措置を取るきっかけとなったという。

「われわれの公開市場操作は、フェデラルファンド(FF)金利の実効レートを誘導目標レンジの範囲内に収めることに成功し、短期金融市場の安定を確保した」とした上で「最近の経験は、潤沢な準備預金の枠組みを効果的に運用する上で、重要な教訓をもたらした」と語った。

ウィリアムズ総裁はイベント後、記者団に対し、日々のオペを通じてこれまでに学んだ教訓の1つとして、銀行が必要に応じて米国債を現金に転換することを可能にするスタンディング・レポ制度だけでは、銀行の流動性確保には不十分な可能性があると指摘した。

レポ取引を通じたオペの後、準備預金を銀行システムにより広範に拡大するためには、依然として「複数の措置が必要だ」と述べた。

その上で「(レポだけで)問題に対処できるとは思わない」とし、「レポは準備預金の増加につながるが、銀行システムに恒常的により高水準の準備預金を維持することの最適な代替策ではない」との見方を示した。

景気見通しについては、年初からの2度の利下げにより、金融政策は経済成長に対するリスクに適切に対応できるような状態になったと指摘。将来の政策金利は「会合ごとに」設定するとの考えを示した。

総裁は、世界経済の減速、貿易の不確実性、低インフレなど7月と9月の利下げ時に考慮された要因は、引き続き経済への脅威だと主張。ただ、将来の利下げを正当化できるかどうか、政策当局者は今後の見通しに注目する必要があると指摘した。

米経済を取り巻く状況が変わっていないということは、さらなる追加措置を講じる必要があるということになるか、という議論は望まないとし「こうした要因が見通しに影響してくるかどうかに重きを置き、検討することが必要だ」と語った。

総裁はさらに、米経済は「かなり良好」であり、消費者はこれまでのところ「非常に強い」と指摘。個人消費は遅行指標としながらも、資産価格や雇用の伸び、賃金上昇など消費に影響する要因は、今のところ前向きだとの見方を示した。

※内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米肥満薬開発メッツェラ、ファイザーの100億ドル買

ワールド

米最高裁、「フードスタンプ」全額支給命令を一時差し

ワールド

アングル:国連気候会議30年、地球温暖化対策は道半

ワールド

ポートランド州兵派遣は違法、米連邦地裁が判断 政権
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216cmの男性」、前の席の女性が取った「まさかの行動」に称賛の声
  • 3
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 6
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 7
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 8
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 9
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 10
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 9
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 10
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中