ニュース速報

ビジネス

米1月PCE物価上昇、個人消費は減速

2018年03月02日(金)05時54分

[ワシントン 1日 ロイター] - 米商務省が1日発表した1月の個人消費支出(PCE)物価指数は前月比0.4%上昇し、2017年9月以来の大幅な伸びとなった。

17年12月は0.1%上昇していた。

1月の前年同月比は1.7%上昇した。12月も1.7%上昇していた。

変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPCE物価指数は前月比0.3%上昇と、17年1月以来、1年ぶりの大幅な伸びとなった。12月は0.2%上昇していた。1月の前年同月比は1.5%上昇。前月比、前年同月比ともに市場予想と一致した。

ナロフ・エコノミック・アドバイザーズ(ペンシルバニア州)の首席エコノミスト、ジョエル・ナロフ氏は「連邦準備理事会(FRB)は物価上昇を待ち望んでいたが、それが実現しつつある」と指摘。「物価上昇はすぐに萎えることはない公算が大きいため、今年は4回の利上げが実施されるとみている」と述べた。

ムーディーズ・アナリティクス(ペンシルバニア州)のシニアエコノミスト、ライアン・スイート氏は「すべての要素がそろった。年内を通してインフレは上向いていく。懸念しなくてはならないことはない」と述べた。

FRBはコアPCE物価指数の前年同月比の数値を物価の目安としている。数値は12年半ば以降FRBの目標とする2%を下回っているが、労働市場の引き締まりに伴い賃金がますます上昇する中で物価は今年、目標に達するとみられる。

また、1兆5000億ドル規模の減税政策と景気刺激策によって経済成長も加速し、これも物価の押し上げ要因となりそうだ。

FRBのパウエル議長は2月27日の議会証言で、米経済について前向きな見方を示した。「12月以降、私個人の経済見通しは上向いた」と述べ、「財政政策はより景気刺激的になっている」と付け加えた。

パウエル議長の発言を受け市場は今年4回利上げがあるとの見方を強めた。FRBは現在、今年3回利上げする見通しを示しているが、エコノミストらは3月20-21日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、FRBの利上げ見通しが変わるとみている。

物価上昇圧力が増したことで個人消費支出は前月比0.2%増と、17年8月以来の小幅な伸びにとどまった。12月は0.4%増加していた。個人消費は米経済の3分の2以上を占める。

インフレ調整後の実質消費支出は0.1%減と、17年1月以来初めて落ち込んだ。12月は0.2%上昇していた。個人消費は17年第4・四半期に年率で3.8%増と好調な伸びを示したが、1月に実質消費支出が落ち込んだことは、第1・四半期に個人消費のペースが落ちたことを示唆する。

また、実質消費支出は経済成長の伸びも年明けに鈍化したことを示す最新の兆しだ。1月は鉱工業生産や住宅販売、コア資本財受注も落ち込んだ。17年第4・四半期国内総生産(GDP)は2.5%増だった。

ただ底堅い労働市場が個人消費を下支えしている。FRB当局者は労働市場が最大雇用近辺、もしくは最大雇用をやや超えた状態とみなしている。

1月の個人所得は0.4%増。12月も0.4%増加していた。賃金は0.5%増。12月は0.4%増だった。貯蓄は4644億ドルと、前月の3632億ドルから増えた。貯蓄率は3.2%。12月は2.5%だった。商務省当局者は、減税政策によって貯蓄が増えたと述べる。

バンク・オブ・ザ・ウエスト(サンフランシスコ)の首席エコノミスト、スコット・アンダーソン氏は「所得増は将来的な消費支出増加の原動力となる」としている。

*内容を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

パレスチナ国家承認、米国民の6割支持=ロイター/イ

ワールド

潜水艦の次世代動力、原子力含め「あらゆる選択肢排除

ビジネス

中国債券市場で外国人の比率低下、保有5カ月連続減 

ワールド

台湾、米国との軍事協力を段階的拡大へ 相互訪問・演
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 5
    TWICEがデビュー10周年 新作で再認識する揺るぎない…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    米軍、B-1B爆撃機4機を日本に展開──中国・ロシア・北…
  • 8
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 9
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 10
    汚物をまき散らすトランプに『トップガン』のミュー…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 8
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 9
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 10
    TWICEがデビュー10周年 新作で再認識する揺るぎない…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中