ニュース速報

ビジネス

ETF買入は物価目標実現に必要、副作用も注視=黒田日銀総裁

2018年02月13日(火)12時34分

 2月13日、黒田東彦日銀総裁は13日午前の衆院予算委員会で、日銀による年間6兆円程度の上場投資信託(ETF)の買い入れについて、現時点で副作用は大きくなっていないとしながら、注視していく姿勢を示した。写真は予算委員会に出席する黒田総裁。国会議事堂で撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 13日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は13日午前の衆院予算委員会で、日銀による年間6兆円程度の上場投資信託(ETF)の買い入れについて、現時点で副作用は大きくなっていないとしながら、注視していく姿勢を示した。

また、ビットコインなどの仮想通貨が、支払い・決済に対する人々の信頼を損なう恐れがないか動向を注視したい、と語った。原口一博委員(無会)の質問に答えた。

総裁は、中央銀行として異例のETF買い入れによって「日銀が抱えるリスク量が増大することは、ご指摘の通り」としながら、ETF買い入れは「現在の長短金利操作付き量的・質的金融緩和政策」の「一つの要素」とし、「今後も財務の健全性に十分配意しつつ、2%の物価安定目標の実現に向けて必要な措置として実施していく方針だ」と語った。

そのうえでETF買い入れの副作用について「現状、大きな問題になっているとは考えていないが、今後も十分注視していきたい」と述べた。

また、仮想通貨に関しては「現状ではほとんどが投機的な投資対象となっており、送金や支払いへの使用はごくわずか」であり、「ソブリン通貨を凌駕(りょうが)して支払い・決済手段として広く使われていく可能性は低いとの見方が大勢だ」と指摘。

日銀として「支払い・決済への人々の信頼を損なう恐れがないか、動向を十分注視していきたい」と表明した。

足元で世界的に株式市場が不安定な動きになっているが、総裁は背景について「米国の経済指標が市場予想を上回ったことから、先行きの物価上昇ペースが速まるとの警戒感が強まったといわれている」との見方を紹介。

株価のベースとなる企業収益の見通しや、日本経済のファンダメンタルズは「しっかりしている」と述べつつ、「内外の金融資本市場の動向は経済・物価に影響を与える可能性があり、引き続き注意深くみていきたい」と警戒感もにじませた。

(伊藤純夫)

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国、エヌビディアが独禁法違反と指摘 調査継続

ワールド

トルコ裁判所、最大野党党首巡る判断見送り 10月に

ワールド

中国は戦時文書を「歪曲」、台湾に圧力と米国在台湾協

ビジネス

無秩序な価格競争抑制し旧式設備の秩序ある撤廃を、習
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 3
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人に共通する特徴とは?
  • 4
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    【動画あり】火星に古代生命が存在していた!? NAS…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中