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ユーロ圏総合PMI速報値、8月は51.8に上昇 見通しは悪化
[ベンガルール 22日 ロイター] - IHSマークイットが発表した8月のユーロ圏総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は51.8と、前月の51.5から小幅に上昇した。ただ先行き見通しなどが軟調だったことで、欧州中央銀行(ECB)は9月の理事会で利下げを決定する軌道から外れないとみられる。
ロイターがまとめた市場予想は51.2だった。50が好不況の分かれ目となる。
サービス業が好調だったほか、製造業の縮小ペースも鈍化した。ただ、貿易摩擦を背景に先行きの見通しを示す指標は過去6年あまりで最低の水準に落ち込んだ。
企業の楽観度を示す総合先行き生産指数は55.5と、2013年5月以来の低水準。前月は58.8だった。
IHSマークイットのチーフ・ビジネス・エコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「ユーロ圏経済の力学は8月もほとんど変わっていない。サービス業が堅調に拡大し、引き続き経済全体を下支えしており、製造業の縮小が続いているにもかかわらず、全体ではプラス圏を維持している」と指摘。
「経済全体の拡大ペースは上向いているが、第3・四半期のこれまでのPMIデータに基づくと、域内総生産(GDP)が0.1─0.2%増にとどまるとの見方に変わりはない」と述べた。
INGのユーロ圏担当シニアエコノミスト、バート・コリーン氏は「ユーロ圏経済が第3・四半期半ばにマイナス成長に陥った公算が小さいことが示された」と指摘。モルガン・スタンレーのエコのミストも顧客へのノートで「今回の上振れは歓迎すべきもので、現時点では景気がそれほど大きく減速したわけではないことが示された」とした。ただ「拡大のペースがトレンドを下回る状態は続いており、これによりECBによる9月の利下げは正当化される」との見方も示した。
8月のサービス部門PMI速報値は53.4で、前月の53.2から上昇。ロイターがまとめた市場予想の53.0を上回った。ただ、期待指数は約5年ぶり低水準の57.3。前月は61.2だった。
8月の製造業PMI速報値は47.0で、前月の46.5から上昇。ロイターがまとめた市場予想の46.2を上回った。7カ月連続で50を下回った。
総合PMIに盛り込まれる生産指数は47.8で、前月の46.9から上昇した。ただ製造業者の楽観度を示す先行き生産指数は51.0で、2012年11月以来の低水準だった。
IHSマークイットのウィリアムソン氏は「最近の景気減速から急ピッチな回復が見られないことが、企業心理に悪影響を及ぼしている。企業は低迷長期化を覚悟しているようだ。その結果、人員の拡大に慎重な向きが増えている」と述べた。
*内容を追加しました。