ニュース速報

焦点:英ポンド空売り減少、「合意なき離脱」回避の期待で

2019年03月11日(月)15時58分

[ロンドン 8日 ロイター] - 英国の欧州連合(EU)離脱予定日が3週間後に迫ったが、「合意なき離脱」という最悪の事態は回避されるとの見方が強まり、ドルとユーロに対するポンドの空売りは減少しつつある。

ポジションの全体状況を見ると、離脱の行く末についてなお一定程度の警戒感が残っているようだ。しかし英議会が離脱日を予定の3月29日から延長するとの見方から、ポンドはここ数週間で数カ月ぶりの高値に上昇した。

年初来ではドルに対して7%上昇し、主要通貨の中で最も大幅な値上がりとなった。

さまざまなポジションデータによると、ポンドのショート(空売り)は人気が衰えている。米商品先物取引委員会(CFTC)のデータでは、投機筋のポンド/ドルの売り越しは2月25日時点で32億ドルと、昨年9月の65億ドルから半減し、米政府機関が一時閉鎖された昨年12月21日の48億4000万ドルに比べても大幅に減っている。

政府機関閉鎖によってCFTCのデータは数週間発表が止まっていたが、より最新の状況を示す銀行やファンドのデータを見ると、ポンドのショートが徐々に消滅しているのが分かる。

例えばBNPパリバのFXポジショニング・トラッカー(マイナス50からプラス50までの数値で表示)では、ポンドは3月4日にプラス4と、前週のマイナス5からプラス転換し、ショートが完全に無くなっている。昨年末はマイナス30、1月21日の週はマイナス18だった。

RBCキャピタル・マーケッツの分析によると、1月21日の週と1月25日の2度にわたり、特にユーロに対するポンドの買いが急増する場面があった。これは合意なきEU離脱が避けられるとの期待が高まったタイミングだ。

ノムラのポジション指標でも、ポンドの売り越しは30億ドルを割り込み、年初来の最低水準まで下がっている。昨年末は45億ドルだった。

もっとも、投資家は手放しでポンドの先行きを楽観している状況とは程遠い。CFTCのデータでは、2月末時点の売り越しは5年平均の27億ドルを大幅に上回っている。

UBSのFXストラテジスト、レフテリス・ファーマキス氏は「ハード・ブレグジット(合意なき離脱)が避けられるとの期待からポンドに少し楽観論が広がっている」とした上で、離脱が延期されるにせよ、EUがメイ英首相の離脱条件を受け入れるにせよ、「投資家は新たな可能性やリスクを考える必要が出てくる」と話した。

このため合意なき離脱が回避されても、ポンドが急上昇することはなさそうだ。

トレーダーによると、オプション市場でもEU離脱に備えたヘッジは減っているが、完全に消えてはいない。

また、通貨ファンド、ミレニアム・グローバル・インベストメンツの指数(マイナス5からプラス5)では、ポンドのポジションは1カ月前がマイナス1.7、1週間前がマイナス1.4、直近はマイナス0.9だった。

同社のグローバル経済・ストラテジー責任者、クレール・ディソー氏は「当社の指標によると、ポジションはまだショートで、少し不透明感が残っている」と指摘。「英議会は合意なき離脱の可能性を排除しているが、各政党が分裂しており、選挙実施の可能性もあるため、国内が不安定化するリスクは残る」と述べた。

(Saikat Chatterjee記者)

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米戦略石油備蓄の第1弾、来週末までに供給 8600

ビジネス

日立とGEベルノバ、東南アジアで小型モジュール炉導

ワールド

米商務省、AI半導体輸出の新規則案を撤回 公表から

ワールド

北朝鮮が約10発の弾道ミサイル発射、東海岸沖の海に
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 2
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切りは常軌を逸している」その怒りの理由
  • 3
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド太平洋防衛
  • 4
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 5
    有人機の「盾」となる使い捨て無人機...空の戦いに革…
  • 6
    「イラン送りにすべき...」トランプ孫娘、警護隊引き…
  • 7
    イラン攻撃のさなか、トランプが行った「執務室の祈…
  • 8
    『ある日、家族が死刑囚になって』を考えるヒントに…
  • 9
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 10
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 7
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 8
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 9
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切り…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中