コラム

なに考えてる? CIA元諜報員が分析したイーロン・マスクの深層心理

2022年12月21日(水)17時45分
イーロン・マスク

TAYLOR HILL/GETTY IMAGES

<スペースXとテスラの創業者・CEOに、新たに加わったツイッター経営者の肩書。この「リアル・アイアンマン」は何を考えているのか。世界をよりよく変えるのか、それとも...>

イーロン・マスクを好きか嫌いかは別にして、「2023年の注目の人」として取り上げるのは礼を失する。少なくとも2008年から超有名人だ。

この年に公開された映画『アイアンマン』の主人公トニー・スタークは、マスクをモデルにしている。ロバート・ダウニーJr.が演じるスタークは、風変わりな天才にして短気な実業家で発明家。社会通念を無視し、規制を軽蔑し、あり得ないほど裕福で、世界を救う装置を発明する。

本物のマスクは世界で最も裕福な1人だ。

宇宙旅行に革命を起こす超大型ロケット、スターシップを開発中のスペースXの創業者でチーフエンジニアを務める。

電気自動車メーカーのテスラを設立して自動車業界に革命を起こし、二酸化炭素排出量がほぼゼロの「ポスト内燃機関」の世界を目指している。

住宅用太陽光発電システムの設計・施工を手がけるソーラーシティーとテスラの2016年の合併は、業界に衝撃を与えた。

そして今、440億ドルでツイッターを買収し、世界的なソーシャルプラットフォームと言論の自由のパラメーターに影響力を振るおうとしていることは周知のとおりだ。

■【写真特集】女優から自社の従業員まで...イーロン・マスクの恋人・結婚相手たち

ツイッターを買収した理由の1つは、思い付いたことを何でも口にしたいから。

彼のナルシシズムはいじめられていたという子供時代の反動かもしれない。いたずらっ子のようなちゃめっ気と感情面の未熟度は、親の束縛や同級生の嫌がらせから解放された大学1年生のようだ。

自分の発言が、株式市場を揺るがし、日本の人口動態をめぐる不安を招き、言論の自由を主張する人々やネオナチを挑発することにも、時に無自覚で、しばしば無頓着で、子供じみた快感を明らかに楽しんでいる。

アイアンマンの正体を知るスタークの秘書ペッパー・ポッツのように、この幼稚な大人をコントロールできる人物はいないのだろうか。

プロフィール

グレン・カール

GLENN CARLE 元CIA諜報員。約20年間にわたり世界各地での諜報・工作活動に関わり、後に米国家情報会議情報分析次官として米政府のテロ分析責任者を務めた

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米中、9日にロンドンで通商協議 トランプ氏が発表

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、雇用統計受け利下げ急がずと

ワールド

米、中国の原発向け関連機器の輸出許可を停止=関係筋

ワールド

中国、米大手自動車向けレアアース輸出に一時許可付与
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:韓国新大統領
特集:韓国新大統領
2025年6月10日号(6/ 3発売)

出直し大統領選を制する李在明。「政策なきポピュリスト」の多難な前途

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシストの特徴...その見分け方とは?
  • 4
    ペットの居場所に服を置いたら「黄色い点々」がびっ…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    日本の女子を追い込む、自分は「太り過ぎ」という歪…
  • 7
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 8
    猫に育てられたピットブルが「完全に猫化」...ネット…
  • 9
    ウクライナが「真珠湾攻撃」決行!ロシア国内に運び…
  • 10
    「ホットヨガ」は本当に健康的なのか?...医師らが語…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story