アステイオン

座談会

中露に挟まれたモンゴルの「アンダ」(戦略的パートナーシップ)とは──モンゴルから中華を見る[後編]

2023年06月07日(水)10時57分
小長谷有紀+岡本隆司+田所昌幸 構成:荻 恵里子(京都府立大学共同研究員)

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2022年12月、大阪にて座談会が行われた。写真はすべて蛭子真撮影


田所 土地にしがみついている我々には、なかなかないですね(笑)。

小長谷 モンゴル人のスタイルはなかなか見習えません。しかし、政治家が言うような「普遍的価値」や「多様な文化的価値」ではなく、多様なことを全部丸のみできることが最高の普遍的価値であり、それを愛でるだけでも価値があると思っています。そういうふうになればすばらしいなあ、と。もしかしたら中国理解の足しにならなかったかもしれませんが......。

岡本 いえいえ、今、世界はその対極にありますから、モンゴルに学ぶことは大きいと思います。今日は貴重なお話をありがとうございました。


小長谷有紀(Yuki Konagaya)
1981年京都大学卒業、同大学院文学研究科博士課程、同大学文学部助手、国立民族学博物館助手を経て、国立民族学博物館人類文明誌研究部客員教授。人間文化研究機構理事もつとめる。現在は日本学術振興会監事。専門はモンゴル研究。主な著書に『モンゴルの春──人類学スケッチ・ブック』(河出書房新社)、『モンゴル草原の生活世界』(朝日新聞社)、『現代モンゴルを知るための50章』(共著、明石書店)など多数。

岡本隆司(Takashi Okamoto)
1965年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。宮崎大学教育学部講師、同教育文化学部助教授を経て、京都府立大学文学部教授。専門は近代アジア史。著書に『世界史序説』(筑摩書房)、『「中国」の形成』(岩波書店)、『東アジアの論理』(中央公論新社)、『属国と自主のあいだ』(名古屋大学出版会、サントリー学芸賞)、『中国の誕生』(名古屋大学出版会)、『世界史とつなげて学ぶ 中国全史』(東洋経済新報社)など多数。

田所昌幸(Masayuki Tadokoro)
1956年生まれ。京都大学法学部卒業。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス留学。京都大学大学院法学研究科博士課程中退。博士(法学)。姫路獨協大学法学部教授、 防衛大学校教授、慶應義塾大学法学部教授を経て、国際大学特任教授。慶應義塾大学名誉教授。専門は国際政治学。主な著書に『「アメリカ」を超えたドル』(中央公論新社、サントリー学芸賞)、『越境の政治学』(有斐閣)、『社会の中のコモンズ』(共著、白水社)、『新しい地政学』(共著、東洋経済新報社)など。


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 『アステイオン』98号

  特集:中華の拡散、中華の深化──「中国の夢」の歴史的展望
  公益財団法人サントリー文化財団・アステイオン編集委員会[編]
  CCCメディアハウス[刊]


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