あらゆる国は自国の過去を美化しようとする
19世紀半ばの南北戦争前の時期には、奴隷制存続派と廃止派が互いに対して誘拐、暗殺、テロを行った。戦争の銃声がやんだときには、60万~75万人が死亡していた。
1882~1968年の間にリンチで殺害された黒人は、全米黒人地位向上協会によれば4743人に上る。白人至上主義団体KKK(クー・クラックス・クラン)の会員数は、1920年代にはおそらく250万~400万人に達していた。
第2次大戦中には12万人近い日系人が収容所に送られた(その3分の2はアメリカ市民だった)。同様の例は枚挙にいとまがない。
誰もがアメリカ大統領になれるという話はどうか。これまでに女性が大統領になったことは一度もなく、白人以外が大統領になったのもバラク・オバマの1人だけだ。
あらゆる国は、歴史を創作したり、不都合な歴史から目をそらしたりして自国の過去を美化しようとする。その意味で私の小学生時代の経験は特殊な事例ではない。
しかし、実際には存在しない過去への郷愁を抱くのは危うい。非現実的な希望や期待が形づくられてしまうからだ。
アメリカが取り戻そうと努めるに値する過去があるとすれば、それは現実に存在した過去でなくてはならない。では、アメリカの過去に存在し、今のアメリカで残念ながら失われているものとは何なのか。
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