私は子供時代、アメリカの小学校でこう教えられた──君たちは地球上で最も素晴らしい国で生きられて幸せだ。

いわく、アメリカは世界で最初の、そして最良の民主主義国家であり、アメリカ人は誰もが平等だ、とのことだった。そして全てのアメリカ人は、自らの考えていることを述べ、信仰したいものを信仰し、アメリカ合衆国大統領を含めてあらゆる職に就く自由を持っていると教わった。

確かに、アメリカ独立宣言もこう記している。「全ての人間は生まれながらにして平等であり、創造主により、生命、自由、幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている」

合衆国憲法の前文によれば、アメリカは「正義を樹立し、国内の平穏を保障し、共同の防衛に備え、一般の福祉を増進し、われわれと子孫に自由の恩恵を確保する」ことを目的に建国された国だ。

この難しい時代に、アメリカは建国の理念を取り戻せるのかと問いたくなるのも不思議でない。

いまアメリカでは権威主義が力を増し、政治は分極化し、党派対立は憎悪に転じ、不寛容が野火のように広がっている。

不寛容の矛先は、主として移民や難民、英語が第1言語ではない人々、ユダヤ教徒、イスラム教徒、女性、性的マイノリティー、そして肌の色が白くない人たちに向けられている。アメリカの高邁な理想は完全に失墜したように見える。

しかし、アメリカは過去に一度たりとも、私が小学校で教わったような国だったことがない。そもそも世界最初の民主主義国家は、アメリカではなく古代ギリシャのアテネだ。

アメリカ史の大半は民主的な国でもない
【関連記事】