中国のファブレス・メーカーの成長を裏方として支えていたのは、台湾のTSMCや中国の中芯国際(SMIC)といった半導体受託メーカー(ファウンドリー)であった。ファブレスとファウンドリーを各々独立した企業が担って分業する台湾型の半導体産業が中国でも盛んになっている。

しかし、中国政府はこうした民間主導の半導体産業の発展には飽き足らず、2014年から再び介入を強めた。同年「国家IC産業発展促進政策」を制定し、それに基づいて国家IC投資ファンドを立ち上げた。政府や中国煙草などの国有企業からの出資金を総額1387億元(約2兆4000億円)集めて、これまでに85社の半導体関連企業に出資した。

その投資先を見ると、SMICなどのファウンドリーに全体の65%の資金を投じているが、半導体の製造装置、半導体材料、半導体のパッケージングとテスト、そしてファブレス・メーカー、さらには他のIC産業投資ファンドにも出資している。半導体産業の上流から下流までをカバーしており、その狙いは中国の弱点を克服し、半導体産業全体の国産化を進めていくことにあるとみられる。

目標は2030年の国産化率75%

この政策は、翌年にはハイテク産業全般にわたる国産化政策である「中国製造2025」にもつながっていく。その具体的な目標を産業ごとに示した「技術ロードマップ」のなかでは、ICの国産化率を2020年には49%、2030年には75%とするという目標が提示された。

なお、『日本経済新聞』など日本のマスコミでは、中国は「中国製造2025」で半導体の「自給率を2020年に40%、25年に70%まで高める目標を打ち出した」(『日本経済新聞』2021年10月13日)との誤報を繰り返している。これは「中国製造2025」のなかで「重要部品と重要材料」全般に関して掲げられた目標を半導体に関する目標だと誤解したものであろう。

皮肉なことに、こうした中国の野心的な政策がアメリカの警戒心を呼び起こすことになった。それまで中国のスーパーコンピュータはインテルなどアメリカ企業のICを使って、計算速度でアメリカや日本とトップ争いを繰り広げてきたが、2015年からアメリカ政府は中国のスーパーコンピュータ向けにアメリカ企業がICを輸出することを禁じた。そこで中国はスーパーコンピュータ用のCPU「申威(Sunway)」を開発した。

軍事への応用も想定されるスーパーコンピュータへのIC供給を制限するのは理解できるが、トランプ政権になると、民生品を作る企業であっても中国のハイテク企業の力を削ごうとする政策が乱発されるようになった。

目標を大きく下回る国産化率
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