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本人に代わってネット上への投稿などを削除する「デジタル葬儀社」 (c) TV Chosun

韓国メディアによると、「デジタル葬儀社」*に依頼して子供が作ったIDでネット上に書き込んだものを全て探しだして削除してもらったり、親が子供の名前でTwitterやFacebookに登録して入試でいい点数が取れそうなことを書き続けたり、子供の米国留学のためなら時間とお金を惜しまない親が少なくないという。
*個人の不要なインターネット上の履歴や、亡くなった人のインターネット上の投稿や足跡を削除する会社。「デジタルランドリー」とも呼ばれ、アメリカでは2012年ごろから、韓国では2013年ごろからサービスを提供する会社が現れた

ロイター通信の伝えるところでは、SNSは米国の大学入学だけでなく政府のビザ発給にも影響を与えるようだ。米国国土安全保障省は5月末からビザ発給の審査を厳格にするとして、申請者が過去5年間使っていたSNSのIDを届け出るように決定した。SNSの中身も審査対象というわけだ。

同省は国家の安全保障のため審査の厳格化が必要という立場で、「テロや他の国家安全保障に絡む在留資格の欠如に関連して追加審査が必要と判断された」場合のみSNSのIDを要請するというが、韓国では「ビザ審査書類にあるSNS ID欄を空白のまま提出すると余計審査に時間がかかってしまうかもしれないので、予め当たり障りのないSNSのIDを作って備えよう」という雰囲気になっている。

米国向けビザ発給手続きを代行する法律事務所も、子供のSNSコンサルティングに乗り出した。米国の大学やビザ発給審査で問題にならないようにするためには、SNSにどんな内容を書き込めばいいのか。それは本人がピアノやバイオリンなどの楽器を演奏する姿を載せるのが一番だという。子供に楽器の演奏を学ばせるほど金銭的余裕があり、クラシックをたしなむ教養ある家柄で育ったとアピールできるからだ。その他に、米国に親戚がいると書くのは不法滞在する可能性があるとみられるのでよくない、中東に関する風景写真・料理写真も一切掲載してはならない、といったことをアドバイスしていた。

「米国ビザ取得できない? SNSでの発言を自己検閲」  TV Chosun / YouTube
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米国に負けず韓国でもSNSはその人を評価する材料の一つになっている。韓国では就職の際にSNSの評判が当落を決めることもある。韓国は大卒でも就職が厳しく、就活のためにSNS上の活動をがんばる学生も多い。フォロワーが多い=自分は人に慕われリーダーシップがあり社会的に影響力がある人だと会社にアピールするのだ。フォロワーをたくさん集めるために、人が羨むような生活ぶりの写真を載せようと無理をする人もいる。

韓国のニュース番組によると、最終面接の前に応募者の名前で検索してFacebookやTwitterをチェックする企業が増えているという。SNS上でどのような写真やコメントを残しているのかを確認して、その人の日頃の品性や社会性を見るのだとか。

稀なケースではあるが、FacebookのID(実名)でネットニュースのコメント欄に書き込んだ内容が問題になり、「うちの会社が目指している方向とは違う意見を持っているようなので」と面接がキャンセルになった人もいるという。ところが、面接でSNSはやっていないと答えると、今度は「トレンディ―な人ではないのでうちの会社とは合わない」と面接を落とされるというから、SNSをやらないのも就職に影響を与えてしまう。そのため就職活動の前に、自分の過去のネット上での不適切な投稿を削除してもらおうと、デジタル葬儀社を利用する若者が増えているのだとか。

最近はネットの情報源として新聞やテレビに負けない波及力を持つSNSだが、韓国では何を書き込むか、書き込まないべきか、SNSは悩ましい存在になっている。