[シドニー 20日 ロイター] - 「ビッグフォー」と称されるオーストラリアの4大銀行は、7月に予定される総選挙後に2008年の世界金融危機以降最大の試練に直面する可能性がある。銀行の商慣行について議会の調査を求める政治勢力が、決定的な影響力を持って台頭するとみられるためだ。
これらの銀行をめぐっては、消費者への不適切な助言や金利不正操作の疑いで一連の訴訟が提起されており、英連邦諸国の重要問題を取り扱う公的な調査機関である王立委員会による調査を求める声が上がっている。
国内の融資の80%を占め、長年にわたって高い利益を上げてきたコモンウェルス銀行<CBA.AX>、ウエストパック銀行<WBC.AX>、オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)<ANZ.AX>、ナショナル・オーストラリア銀行<NAB.AX>の4行にとって、強力な権限を持つ王立委員会の調査は頭痛の種になるだろう。
ウォーターマーク・ファンズ・マネジメントのオムカ・ジョシ氏は「王立委員会(の設置)は非常にネガティブだ。何もかもが明るみに出る可能性があり、銀行が是が非でも回避しようとする理由が理解できる」と語った。
王立委員会は、幹部に公聴会への出席と宣誓証言を義務付けることが可能で、調査結果が大規模な改革をもたらすこともある。
世論調査によると、7月2日に実施される総選挙では自由党と国民党からなる連立与党と野党・労働党の接戦が予想されている。連立与党は銀行に対する調査を支持していない。しかし、選挙で第1党になったとしても、労働党と主要な独立系議員らが調査を支持していることから、この問題に関する議会採決でこれらの勢力が勝る可能性がある。
ニック・ゼノホン上院議員は、ロイターに対し「強力な王立委員会が必要だ。消費者の保護をどう改善するかや、『ビッグフォー』以外の銀行を相対的にどう強化するかにも対処すべきだ」と語った。同氏が最近結成した新党「ニック・ゼノホン・チーム」は、上院での勢力バランスの鍵を握る可能性がある。
<銀行は調査に否定的>
銀行の幹部らは、一貫性のある業界の規制が最善の解決策を提供するとして調査の要請を受け入れない姿勢を示している。
オーストラリア銀行協会の会長、スティーブン・マンチェンバーグ氏は今年に入って、「われわれは問題があることや、業界の継続的な監視が必要なことを否定しているわけではない」と指摘。
その上で「問題は王立委員会がそれを行う必要があるのかという点で、その答えはノーだ」と語った。
またNABのアンドリュー・ソーバーン最高経営責任者(CEO)は4月、王立委員会は「深刻な妨げ」になると指摘。ANZのシェーン・エリオットCEOも、委員会による調査はオーストラリアに関する海外投資家からの評判を損ねるとの見解を示した。
総選挙が近づく中、銀行の問題が選挙戦の争点として浮かび上がり、銀行関係者は、固唾(かたず)をのんで事態を見守っている。
ある銀行幹部は、匿名を条件にロイターに対し「本当に懸念している。われわれは、選挙まで身を低くしておとなしくしている」と語った。
(Swati Pandey記者、Jonathan Barrett記者 翻訳:佐藤久仁子 編集:加藤京子)