[ 10日 ロイター] - <為替> 円が上昇した。世界的な株安やコモディティ価格下落を受けてリスク回避ムードが強まり、安全通貨とされる円が買われた。
円はユーロに対して一時約3年ぶりの高水準となり、対ドルでも5週間ぶりの高値を付ける場面があった。
ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズ(ニューヨーク)の通貨ストラテジスト、エリック・ビロリア氏は「全般的に警戒ムードが漂った。株価は下落し、国債利回りは低下した」と指摘した。ドイツと英国の10年債利回りはそれぞれ過去最低を更新。原油価格は反落した。
ユーロ/円<EURJPY=>は2013年4月以来の安値となる120.29円まで下落した後、終盤は1%安の120.88円。ドル/円<JPY=>は欧州時間に5月4日以来の安値の106.24円まで売られ、終盤は0.2%安の106.76円だった。
ドルは円以外の主要通貨に対しては値を戻した。米新規失業保険申請件数が予想に反して減少し、4月の米卸売売上高が予想を上回ったため、第2・四半期に米国経済が減速しているとの懸念が和らいだ。
アナリストによると、米連邦準備理事会(FRB)が来週14─15日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、ドルは狭い値動きにとどまりそうだ。FOMCは、23日の英国民投票で欧州連合(EU)離脱が決まれば市場が混乱する可能性を踏まえ、利上げを見送ると予想されている。
<債券> 国債利回りが2月以来の低水準をつけた。世界経済成長への懸念が広がり、原油・株式相場が下落するなか、安全資産とされる債券需要が高まった。
終盤の取引で、30年債<US30YT=RR>は23/32高。利回りは2.48%と、2月11日以来の低水準を記録した。
10年債<US10YT=RR>も8/32高。利回りは1.68%で、2月24日以来の低水準をつけた。
2年債と10年債の利回り曲線<US2US10=TWEB>もフラット化して89ベーシスポイント(bp)と、2008年以来の低水準だった。フラット化は、成長鈍化を示すと受け止められることもある。
欧州連合(EU)離脱の是非を問う英国民投票や、欧州中央銀行(ECB)の社債買い入れプログラム開始への懸念から、ドイツ10年債利回り<DE10YT=RR>がこの日、過去最低の0.023%まで下がった。英国債利回りも過去最低をつけた。
こうしたなか、米国債の投資妙味が増した。利回りが欧州や日本など他の主要国債券よりはるかに高い水準にあるからだ。
市場の関心は、来週の連邦公開市場委員会(FOMC)に集まっている。
<株式> 反落した。世界経済の先行き懸念からリスク選好が低下し、株式から債券などの安全資産に資金が向かった。
原油価格の反落でエネルギー株が売られたほか、米連邦準備理事会(FRB)の早期利上げ観測が後退する中で金融株が値下がりした。
S&P金融株指数<.SPSY>は0.8%安。ゴールドマン・サックス<GS.N>は1%、ウェルズ・ファーゴ<WFC.N>は1.7%それぞれ下落した。
天然ガスのチェサピーク・エナジー<CHK.N>は、RBCの投資判断引き下げが響いて1.8%下げた。
四半期決算が予想よりも好調だった食品のJMスマッカーは7.9%上昇した。
欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が9日、長期的な低成長によりユーロ圏の生産性が低下して経済に恒久的な打撃となるリスクが高まっていると指摘し、こうした問題は金融政策だけで解決できないと発言。これが株式市場にとって打撃となった。
<金先物> 欧米株が値を下げる中、安全資産としての買いが先行し、続伸した。8月物の清算値は前日比10.40ドル高の1オンス=1272.70ドル。
<米原油先物> 対ユーロでのドル高による割高感に加え、連日の上昇を受けた利益確定の売りが出て、4営業日ぶりに反落した。米国産標準油種WTIの中心限月7月物の清算値は前日比0.67ドル(1.31%)安の1バレル=50.56ドル。8月物の清算値は0.62ドル安の51.22ドルとなった。