[東京 16日 ロイター] - 中国からの資金流出加速に懸念の声が相次いでいる。人民元は国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)構成通貨に採用される見通しで、今後は主要通貨として存在感を高めることになるが、拙速な人民元改革は投機的な動きを誘発し、さらなる資金流出を招きかねないと警戒する向きもある。
中国が8月に人民元の切り下げに踏み切って以降、同国からの資金流出は約2000億ドルに達した。米財務省の推計によると、中国当局は7─9月、資金流出に歯止めをかけるため、総額2290億ドルの元買い/ドル売りの為替介入を行ったとされている。
ある関係者は、資金流出のペースは「警戒レベル」としたうえで、「中国の金融システムが不安定化すれば、日本やアジア諸国への影響は計り知れない」と語った。
人民元のSDR入りに伴う改革が与える影響を懸念する声もある。SDR入りを目的に無理な改革を進めるのは「議論が逆」(国際金融筋)で、適切なペースで為替の自由化を進める必要があるとの見方だ。
元財務官の榊原英資・青山学院大学教授は、8月の上海株安など市場の動揺に触れ、金融システムの整備や市場安定のための措置なしに為替の自由化を進めると「市場は確実に混乱する」と指摘。その上で「ヘッジファンドによる投機的な動きが起こるので、金融システムをきちんと整えてから(為替の)自由化をしないと危ない」と警鐘を鳴らした。
また、前IMF副専務理事の篠原尚之・東京大学教授は、中国の金融機関が直面する不良債権問題が、資本・金融市場自由化のあるべきペースを考える上で重要と分析する。
「経済が減速する中で銀行資産・貸出の質がどこまで劣化しているのか。今の数字は問題ないが、将来分からない」とし、中国の金融システムをめぐる市場の疑念をどう当局が払しょくするかが、今後中国経済のハードランディングを回避できるかどうかの鍵を握っているとの見方を示した。
(木原麗花 翻訳:梅川崇)