「暗号資産は、通貨や決済の仕組みを根本的に変えるだろう。より分散化され、透明性が高まり、アクセスしやすくなる。中央集権的な主体に管理される従来の通貨とは異なり、暗号資産はより速く、より安価な取引を可能にする」と、トンは語る。

「ブラジルの即時決済システムPIXやアルゼンチンのQR決済のように、暗号資産は既存のシステムと統合され、伝統的通貨とデジタル通貨が融合しつつある。その結果、より柔軟で強靱な金融エコシステムにつながるだろう」

だが、暗号資産を保有しているアメリカ人は約15%にすぎない。昨年7月に資産運用会社のフランクリン・テンプルトンと世論調査会社ユーガブが実施した調査では、回答者の4分の3がビットコインより金の延べ棒を保有したいと答えた。

「つまり暗号資産は、決済手段を装った資産なのではないか」と、ブルッキングス研究所のクラインは言う。「ビットコインで実際にモノを買っている人がいるとは思えない」

カリフォルニア大学アーバイン校の法学教授であり、『銀行を利用できないもう半分の人々』(未邦訳)の著者であるマーサ・バラダランも、暗号資産業界が掲げる約束に懐疑的だ。「私たちは以前にも、こうした約束を聞いてきた。彼らが考えているほど大胆なものではない」と言う。「ビットコインが価値を持ったのは、既存のシステムに組み込まれて以降だ。かつて言われていたほど新しい存在ではなくなっている」

より速く、より予測不能に