岩盤支持層の忠誠は揺るがない一方、1年前の大統領選でトランプ勝利のカギとなった投票意欲の低い有権者や無党派層の心は離れつつある。

高関税でインフレ加速

ニューヨーク大学経営大学院のローレンス・J・ホワイト教授は、経済指標と有権者の実感が乖離しており、バイデン政権末期を彷彿させると指摘する。「トランプは物価の高止まりについて言い訳しながら、改善に向かっていると人々を納得させるべき立場にある」と、ホワイトは言う。「政治的に非常に厳しい」

ホワイトハウスの内部事情に詳しい人物はAP通信に対し、近いうちに具体策が提示されると語った。実際、トランプは医薬品価格に関する新たな合意を示唆している。

計画の肝といわれるのが、来春の確定申告前に所得税減税を強調し、還付金の増加によって世論の空気を変えようという試みだ。有権者が経済の進展を実感できるよう、生活コストの引き下げと賃金上昇に重点を置く計画もあるが、詳細は不明だ。

もっとも、個別の発表や戦略で今の流れを反転させられるかは分からない。政府は高関税がインフレを引き起こした事実はないと強調する。だがハーバード大学の経済学者アルベルト・カバロらの研究によれば、仮に現政権の関税政策がなければ、アメリカのインフレ率は現状より1ポイント近く低い約2.2%にとどまった可能性があるという。

現状は「もはやトランプ自身の経済」