この状況は当分、変わらないだろう。

ウクライナやパレスチナ自治区ガザでの戦争を受け、アメリカの軍事資源には余裕がない。

中国との直接対決は最も避けたい事態だ。

だが中国への対抗を拒めば、衝突の可能性も破壊度もより高くなるかもしれない。

アメリカは既に、中国が南シナ海で強力な足場を築くことを許してしまった。

全面戦争なしに10年前の状態に戻るのはもはや不可能だ。

最近の挑発行為の増加が示すように、中国はエスカレートするリスクを意に介さず、さらに大胆になっている。

アメリカは「中国との対立ではなく競争」を望んでいると、バイデン米大統領は主張する。しかし、中国は戦略的支配を望んでおり、実現のためには衝突の危険もいとわない。

その出発点が南シナ海だ。

南シナ海は、アメリカの決意が試される場に化している。

バイデンは実行に移せないというのが、習の読みだ。国際社会、とりわけ中国の拡張主義の矢面に立たされている各国は習の見込み違いを願うしかない。

武力衝突なしに中国を抑え込む方法を、アメリカは見つけるはずだ、と。

©Project Syndicate

newsweekjp_20240325025534.jpgブラマ・チェラニ

BRAHMA CHELLANEY

インドにおける戦略研究・分析の第一人者。インド政策研究センター教授、ロバート・ボッシュ・アカデミー(ドイツ)研究員。『アジアン・ジャガーノート』『水と平和と戦争』など著書多数。
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