どうしたら今、2国家解決を実現できるか。何よりも、双方が互いの正当な主張を認めなければならない。イスラエルに安全保障面で譲歩を求めるべきではないし、パレスチナが独立国家という位置付けを諦め、ヨルダン川西岸地区でのイスラエル人の入植活動を受け入れられるはずがない。

現在の戦争が終わったとき、最も急ぐべきなのは和平プロセスの再生に向けて新たな枠組みを策定し、機能不全状態のパレスチナ自治政府を改革し、イスラエル指導部を入れ替えることだ。イスラエルのネタニヤフ首相率いる極右政権が存続する限り、和平プロセス再開の取り組みは、始まった時点で終わりになるのが目に見えている。

さらに、新たな和平プロセスには、信頼できる第三者による極めて大規模な軍事・政治・経済的援助が不可欠だ。オスロ合意当時と比べて、中東と世界全体の在り方は劇変している。もはやアメリカとEUだけでなく、中国の参加も必要になるだろう。

イスラエルとパレスチナの和平は、高尚な外交的理想であるばかりではない。21世紀の世界の平和と安定のために不可欠な政治的現実だ。

©Project Syndicate

231219P16_Joschka_Fischer_shin130.jpgヨシュカ・フィッシャー

JOSCHKA FISCHER

左翼活動家から政治家に転身。ドイツ緑の党の中心人物として、ヘッセン州環境・エネルギー相などを歴任した後、シュレーダー政権では連邦外務大臣兼副首相を務めた。
『アイ・ワズ・ア・ストレンジャー』 ニューズウィーク日本版独占試写会 90組180名様ご招待
『アイ・ワズ・ア・ストレンジャー』 ニューズウィーク日本版独占試写会 90組180名様ご招待
PR
【関連記事】
ニューズウィーク日本版 世界宗教入門
2026年5月19日号(5月12日発売)は「中東新秩序の勝者」特集。

剛腕首相ネタニヤフが図ったアラブとイランの弱体化で、中東に訪れる新時代

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます