<イスラエル奇襲攻撃の首謀者といわれるハマスのデイフ司令官は何度も暗殺の試みを潜り抜け、今や生きても死んでも厄介な大物テロリストだ>

<動画>車載カメラが捉えたハマスの大規模攻撃、処刑、略奪

イスラム武装組織ハマスによるイスラエルへの大規模攻撃の報復として、イスラエル国防軍(IDF)がパレスチナ自治区ガザへの攻撃を強化するなか、ハマスの軍事組織の中枢にいる謎に包まれた人物に注目が集まっている。彼は最後の抵抗の準備を始めているのかもしれない。.

ハマスのアル・カッサム軍事旅団を率いるムハンマド・デイフ最高司令官は、意図的に身を隠しており、彼についての情報はほとんど知られていない。通称のデイフには「客人」という意味があるが、それは一か所にとどまらず、頻繁に居場所を変えるからだ。

そのおかげでデイフは、命をねらうイスラエルの襲撃から逃れてきた。長い間生き延びてきたデイフだが、イスラエル軍が大規模なガザ侵攻を始めれば、30年以上も続いた血なまぐさい追跡劇は頂点を迎えるかもしれない。そのときデイフはどうするのか。

「デイフは優れた地位と名声、業績がありながら、不屈の精神と殉教の文化にどっぷり浸かっている男だ。イスラエル軍がきたからといって自分の土地や戦場を離れるとは思えない」と、カタールのノースウェスタン大学の教授で、ハマスの内情に関する著書があるハレッド・フルブは本誌に語った。

「地上侵攻が行われ、イスラエル軍の追跡の手が迫ったら、彼は命ある限り戦うだろう」

奇襲攻撃の首謀者

ハマスは、イスラエルを跡形もなく破壊し、その上にイスラム主義のパレスチナ国家を築くために戦っている。そのなかで、デイフは極めて重要な役割を担ってきた。特に彼が首謀した10月7日の陸、空、海からのイスラエルの攻撃では、少なくともイスラエル人1300人が死亡した(イスラエルの報復空爆でガザでは2000人近い犠牲者が出た)。

イスラエルは過去に何度もデイフを暗殺しようと試みた。そのせいでデイフはさまざまな怪我を負っており、眼球、腕の一部、脚を失ったと伝えられる。また、2014年にイスラエルがガザに本格的な地上侵攻を行なったときには、空爆で妻と生後7ヶ月の息子、3歳の娘を失ったという。

新たな報告によれば、現在進行中のイスラエル国防軍の攻撃で、デイフの兄と息子を含む、多くの親族が殺害されたという。おそらく、イスラエルは今回こそデイフを完全に排除しようとしているのだろう。

フルブは、デイフの死は短期的にハマスの軍事力に損害を与えるかもしれないとしながらも、支持者に広く敬愛され、敵からは忌み嫌われるデイフのような人物が殉教者としての地位を得ることは、ハマスの地位と威信を高めることにもなりかねないと主張する。

「デイフはパレスチナのチェ・ゲバラになるかもしれない」

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