イスラエル軍は14日、パレスチナ市民による南部への「大きな移動」が見られると明らかにした。同軍は前日、パレスチナ自治区ガザのガザ市で数日以内に「大規模な」作戦を展開するとし、100万人以上のガザ市住民に24時間以内に南部へ退避するよう通告していた。

24時間以内の退避期限は、現地時間14日午前5時(日本時間午前11時)だった。

ガザを実効支配するイスラム組織ハマスは住民にとどまるよう促したほか、モスクも住民に自宅を離れないよう呼びかけていた。 

イスラエル軍の報道官は14日、ビデオでのブリーフィングで「南に向けてパレスチナ市民が大きく移動している」と述べた。退避期限には言及せず、質問も受け付けなかった。

報道官は「ガザ地区周辺ではイスラエル軍の予備兵が編隊を組み、次の作戦に向けて備えている」とし、予備兵らがあらゆる標的や任務に対して準備しているとした。「この戦闘の最終状態は、ハマスが二度とイスラエル民間人や兵士に損害を与えることができないよう、われわれがハマスとその軍事力を破壊し状況を根本的に変えることだ」と語った。

またイスラエル軍は14日、レバノンからイスラエルに侵入しようとした多数の武装勢力をドローンで殺害したと発表した。

国連人道問題調整事務所(OCHA)は13日、イスラエルの通告を受けてガザ北部から南部へ避難した市民は数万人と推計。OCHAのウェブサイトによると、通告が出る前の時点でガザ地区で40万人以上が自宅から避難した。

ただガザ北部にとどまる住民も多く、20歳の男性はイスラエルの空爆で破壊された建物の前で「ここを去るよりも死ぬ方がいい」と語った。

国連やその他機関は、これほど多くの市民が避難を余儀なくされれば大惨事になると警告。援助を受け入れるために包囲を解除すべきだと訴えた。

国連のグテレス事務総長は、燃料や食料、水を供給するために「ガザ全域で人道的アクセスを直ちに確保する必要がある」とし、「戦争にもルールがある」と述べた。 

パレスチナ自治政府のアッバス議長はブリンケン米国務長官とヨルダンで会談し、強制的な避難は現在イスラエル領となっている土地から何十万人ものパレスチナ人が避難や退去を余儀なくされた1948年の繰り返しになると語った。ガザ住民の大半はそうした難民の子孫となる。

イスラエルのネタニヤフ首相は13日、これまでに行っているイスラム組織ハマスに対する報復攻撃は「始まりに過ぎない」と言明した。 

イスラエル軍のダニエル・ハガリ報道官は、戦車に支援された部隊がパレスチナのロケット部隊を攻撃し、人質の居場所に関する情報を得るために奇襲作戦を行ったと述べた。

バイデン米大統領は、ガザの人道的危機への緊急対応を優先していると表明。「パレスチナ人の圧倒的多数はハマスやハマスの攻撃とは無関係だ」とし、「結果的に彼らも苦しんでいる」と語った。 

ヨルダン川西岸では、ガザ地区を支持するデモ隊がイスラエル治安当局と銃撃戦を繰り広げた。パレスチナ当局は16人が射殺されたと発表した。また、レバノンと国境を接するイスラエル北部などでも情勢は悪化している。

7日のハマスによる大規模攻撃以降、イスラエル側の死者は民間人を中心に約1300人に上り、ガザではイスラエルの空爆により約1900人が死亡している。

[ロイター]
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