台湾の軍事力の急速な成長は期待できないが、中国の国防費が今後も年率10%程度の伸びを続けた場合、10年後には中国軍は米軍の実力も凌駕し、台湾海峡でフリーハンドを手にしているかもしれない。10年や15年という時間は遠いように思えるが、国家間の前提条件をがらりと変えるには十分なのだ。

台湾有事は、タイマーはセットされているが、残り時間が表示されない時限爆弾のようなもの。今日のウクライナが明日の台湾にならないために、日本としても「起きない」と期待するより「起きる」という前提で備えるに越したことはない。

日本への影響

南西諸島への自衛隊の重点配備が進んでいる点は、中国への牽制として有効な一手。一方、議論が具体化していないのは、有事の際の台湾住民や外国人、約2万人の日本人の日本への退避、そして南西諸島にいる約10万人の住民の沖縄本島への避難といった問題だ。台湾政府は台湾社会の不安心理を刺激しかねないという意味で、外国政府が台湾有事のための退避計画を作ることに非常に消極的。しかし、それはあくまでも台湾側の事情。日本としては有事発生の阻止に全力を尽くしつつ、複数の退避プランを用意し、いざという時に発動できるように台湾政府、沖縄県などと擦り合わせておくべきだろう。

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