<2021年にエリザベート王妃国際音楽コンクールで3位の栄冠に輝いたピアニスト務川慧悟。同世代の盟友・務川に聞く、反田恭平が生み出す熱狂と喝采の舞台裏。本誌「反田恭平現象」特集より>

日本でいま「最もチケットの取れないピアニスト」である反田恭平、28歳。2021年のショパン国際ピアノコンクールで2位に輝いた反田は、なぜこんなにも観客を熱狂させるのか。

本誌7月11日号(7月4日発売)では、「反田恭平現象」を全20ページで特集。10代の頃から反田を知る、同世代の盟友であるピアニスト務川慧悟に、反田と過ごしてきた11年の軌跡を聞いた。(聞き手:荒井香織)

◇ ◇ ◇
――反田さんとの初対面はいつ?

彼が高校生時代に出場した日本音楽コンクール(12年10月)です。18歳の青年らしい、ロマンチックな青春の魅力が演奏の全面ににじみ出ていました。

いや応なしに人の心をパッと惹き付ける。どれだけ努力を重ねても、こういう演奏はなかなかできるものではありません。

彼より1歳年上の僕は、東京芸大にも通っていましたし、同世代のピアニストの演奏を近くでたくさん見てきました。

でも反田君の演奏は、何かが一味違うんですよ。技術的な完成度が図抜けて高いことに加えて、僕がそれまで見たことがない「何か」を、18歳の彼が確かに持っていたことを覚えています。

18年11月、僕は浜松国際ピアノコンクールに出場しました。人情に厚い反田君は、まだ本選出場が決まる前なのに「ファイナルを聴きに行くよ」と言って浜松まで来てくれました。

「反田恭平&務川慧悟2台ピアノ」を一緒にやらないかと提案されたのは、本選が終わった日の夜のことです。演奏を聴いて感動してくれたみたいでした。翌19年に初共演が実現したデュオコンサートは、今も定期的に続いています。

――今年1~2月、反田さんとのデュオ公演ツアーを成功させました。

札幌から鹿児島まで15カ所のツアーです。15回も同じプログラムを弾けば途中でダレることもありそうなものですが、2人とも毎回新しい変化を見せ、全く飽きることがありませんでした。長い時間2人でずっと一緒に過ごすなか、けんかしたり気まずくなったことは一度もありません。

移動中に隣同士になると、彼は映画を見て、僕は本を読んでいます。雑談することもありますが、お互い好き勝手です。過度に相手に干渉せずストレスを与えないのは、指揮者として、リーダーとして彼が楽団員から好かれる理由でしょうね。

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