バンクマンフリード氏はビジネス上手で交渉にたけていると見られていたため、FTXの破綻は市場にとって不意打ちだった。

同氏はカリフォルニア育ちで、両親はともにスタンフォード大学法学教授のジョゼフ・バンクマン氏とバーバラ・フリード氏。最初に働いたのはジェーン・ストリート・キャピタルで、この道を選んだのは「効果的利他主義」への関心を追求するために資金を稼ぎたかったからだと述べている。効果的利他主義は、慈善団体への寄付を優先するよう人々に促す考え方だ。

億万長者から破綻へ

バンクマンフリード氏は、アジアと米国における仮想通貨ビットコインの価格差を利用して財を成し、1年前のフォーブス誌の推計では資産が265億ドルに達していた。2017年に仮想通貨取引企業アラメダ・リサーチを創業し、その1年後にFTXを興した。

FTXとバンクマンフリード氏の両親、FTX上級幹部らは過去2年間に少なくとも合計19件、総額約1億2100万ドル相当の不動産を、FTXが籍を置くバハマで購入していることがロイターの報道で明らかになっている。

FTXが破綻申請をして以来、バンクマンフリード氏はメディアインタビューや議会で見せてきた自己イメージから距離を取っている。Voxの記者に対しては、仮想通貨に規制の枠組みを導入すべきだと主張してきたのは「単なるピーアール」だと述べ、業界の倫理についての発言も、少なくとも一部は演技だったと認めた。

FTXが破綻する数日前、トレーダーが資金の引き揚げに殺到した際、バンクマンフリード氏は投資家に対し、FTXは救済されると確信していると述べた。事情に詳しい人物が明らかにした。

FTXの破綻を受けてビットコイン価格は2年ぶりの安値に急落し、投資家はこの問題が他の仮想通貨企業に広がるのを恐れている。FTXの従業員も虚を突かれた格好で、一部の顧客に謝罪する文書を送ってショックを伝えたと、関係者は話している。バンクマンフリード氏自身、何度か顧客と従業員に謝罪した。

バンクマンフリード氏は過去に、常にFTXの将来に自信を抱いたわけではないことを吐露している。

6月の会合で同氏は「誰も使ってくれないから、わが社は破綻するだろうと考えたことがあった」と述べた。この数週間後、FTXとアラメダは窮状にあった2つの仮想通貨プラットフォームに救いの手を差し伸べた。

(Hannah Lang記者)

[ロイター]
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