<イスラム教の影響が強いインドネシア、外国人も含めて婚前の性交や同棲を禁止に>

インドネシア議会は11月6日、刑法改正案を可決した。改正案では結婚していない男女による性交や同棲を禁じるほか、大統領や副大統領の尊厳を損なったり、州政府などを侮辱すること、さらには黒魔術の禁止というものまでも含まれており、人権団体などから激しい反対運動が起きている。

世界第4位の人口約2億6000万人のうち約88%がイスラム教徒という世界最多のイスラム教徒人口を擁するインドネシアでは、イスラム教を国教とはせず、キリスト教、仏教、ヒンズー教、儒教の信仰も憲法で保障された多様性の国家である。

しかし圧倒的多数を占めるイスラム教の規範や禁忌、習俗などが政治・経済・社会・文化のあらゆる側面で「優先」されることが多く、それに伴う軋轢や人権侵害事案も多発しているのが現実だ。

今回の刑法改正はオランダの植民地時代に制定された旧法を現代の社会状況に適合させる必要性が求められ、1946年頃から議論が始まり、2019年から国会で本格的に審議されてきたが反対派や国民の間で人権侵害を助長するとして見送られてきた経緯がある。

今回は国会の全政党・会派が賛成に回り懸案の刑法改正がようやく実現した。

婚外性交や同棲も禁止

しかし改正刑法ではこれまで禁止されてきた婚外性交以外に、結婚していない男女の婚前性交や同棲まで禁止され、違反者には6カ月から最長1年の禁固刑が言い渡される可能性がある。

この条文は外国人にも適用されるため、観光産業や投資に影響が出ると経済界などは懸念を表明しているほか、性的少数者であるLGBTQの人権侵害にも関わる可能性が指摘されている。

こうした刑法改正に伴う数々の規制はイスラム教の影響を受けた結果と指摘されており、圧倒的多数の力に後押しされたことは否めない。

イスラム法が唯一適用されているスマトラ島北部のアチェ州では、婚外に加えて禁止されている婚前性交で摘発された男女は公開のむち打ち刑に処されている。

今も残る「黒魔術」も刑罰の対象に