よみがえってきた女王との数々の思い出
女王の具合がよくないと聞いたとき、私は女王がどうしてバルモラル城にいるのだろうといぶかしんだ。9月8日朝、バッキンガム宮殿の衛兵交代式が急きょ中止になり、胸騒ぎを覚えた。
女王陛下の訃報に接したのは、米テキサス州ダラスにある自分の店の厨房だった。途端に女王との思い出がよみがえってきた。初めて会った日の女王の笑い声と、私を追いかけてきた犬たち。毎年クリスマスに女王からプレゼントを渡され、「メリークリスマス、よい新年を」と声を掛けられたこと。
私は11年間、女王のために朝昼晩の食事とアフタヌーンティーを用意したが、女王のシェフを辞めてダイアナのシェフになる際、女王からの言葉を期待したりはしなかった。シェフは入れ替わる。私は一介の使用人として自分の務めを全うし、エリザベス女王は70年に及ぶ彼女の務めを全うしたのだ。
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