ロンドンに拠点を置く不動産コンサルタントのアルカディスは、企業のオフィス改装を支援し、屋内庭園や図書室、ゆったりできる家具を備えた私的なエリアなど「瞑想的な空間」を増やしている。ディレクターのピーター・ホッグ氏によるとパンデミック以来、最も多忙だという。

企業向けオフィスデザインを手がける企業のディレクターによると、英国に本社を置くある商社は、遅くまでの仕事で疲れた従業員のためにシャワーや仮眠室、洗濯設備などを用意し始めた。

「顧客には『オフィスをホテルと見なすつもりだ』と言われた。必ずしも企業の財務的な必要性ではなく、従業員のニーズに応えようとしている」と、このディレクターは話した。

金融街シティーの行政機関「シティー・オブ・ロンドン・コーポレーション」は8月、劇やゲーム、ライブパフォーマンスなどのイベントを展開する「デスティネーション・シティ」プログラム向けに専門職員を採用したと発表した。

英銀オルダーモアのスティーブン・クーパーCEOによると、同行は従業員がクリーニングなど日常的な用事を会社で済ませられるようにコンシェルジュを採用することを検討している。

パートナーシップ・フォー・ニューヨークシティのワイルデ氏によると、出社再開に対する抵抗が最も強いのは、郊外に転勤し、通勤時間が長い従業員。一方で、若い従業員は出社を再開する可能性が高い。「若い人たちは、自分のキャリアアップがオフィスの人間関係次第だと認識している」と言う。

リモートワークは孤独な格納庫

米大手金融機関は、従業員の出社再開に最も積極的な業界の1つだ。ゴールドマン・サックス・グループは昨年6月に完全出社の再開を発表。

モルガン・スタンレーとJPモルガンもほぼ再開し、シティはハイブリッド勤務となっている。

ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループは1日、ハイブリッド勤務も認めつつ、従業員が「孤独な自宅の格納庫」にこもるのではなく出社を再開することを望んでいると発表した。

ゴールドマンとモルガン・スタンレーはオフィスでのマスク着用や新型コロナウイルス検査など、コロナ禍で導入した制度を9月上旬に解除する方針であることが、ロイターが入手したメモで明らかになった。

JPモルガンは今年3月、社内でのマスク着用を任意とし、ワクチン未接種の従業員に対する強制検査も終了。ワクチン接種者だけを採用する方針も撤回した。

ロンドンの不動産金融会社、アトリエのクリス・ガードナー共同CEOは、英国の景気低迷とエネルギーコスト上昇を背景に、スナックの無料提供といった出社促進策よりも、雇用への不安の方が素早く出社再開を促すことになると予想。

「年末にかけて予想通りに事態が厳しくなれば、オフィスに姿を見せることがもっと重要になるだろう」と語った。

(Lawrence White記者、Iain Withers記者、Lananh Nguyen記者)

[ロイター]
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