ただ、コスト上昇分があるので現時点では5%程度の増加と見ておくのが賢明だろう。個別企業のQUICKコンセンサス予想を集計すると、22年度の予想EPSは21年度比6.8%増と、もう少し楽観的だ。しかし、WTI原油先物価格が3月に一時130ドルを超えるなどエネルギー価格上昇の影響だけを考えても、今後、アナリストが見通しを引き下げる可能性が高い。


まずは5月中旬までに各企業が発表する22年度の業績見通しを待つことになるが、前述のコスト上昇要因に加えて、ウクライナ戦争による工業用の各種金属や農産物などの供給不足も懸念され、会社側の期初予想は極めて慎重な内容になりそうだ。


実は21年度もコロナ禍による先行き不透明感が根強く、会社発表の期初予想は非常に慎重だった。その後、米国景気が想定以上に回復したことを受けて、第1四半期決算時点で通期見通しを上方修正する企業が相次いだ。企業数の割合はコロナ前(15~19年度)の4倍程になる。急激な円高やパンデミック等が起きなければ、22年度も似たような展開が想定される。

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仮にEPSが22年3月末から5%増えた場合、株価収益率(PER)が21年度の平均(14.5倍)より低い14.0倍でも日経平均は約30,700円となる。15倍なら約32,900円だ。ウクライナ情勢や経済制裁の影響の見極めが必要なので、すぐに3万円回復はイメージできないが、早ければ第1四半期決算が出揃う8月頃、遅くとも22年内の3万円回復は十分期待できる。

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井出真吾(いでしんご)
ニッセイ基礎研究所

金融研究部 上席研究員 チーフ株式ストラテジスト
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