今、イスラエル社会はかつてないほどの閉塞感に包まれている。国家の倫理を問おうとすれば敵として扱われ、社会の分断が進む。

その結果、国外脱出を選ぶ国民が急増している。22年から24年8月にかけて離国した人の数は約12万5000人。21年までは年間4万人程度であったが、24年にはわずか8カ月で5万人に達した。その背景には、国の現状への強い危機感がある。

国家の未来に警鐘を鳴らす「良心」が国を去りつつある今、イスラエル社会はどこへ向かうのか。

トメル・イェルシャルミが人生を賭けて告発したイスラエル軍の倫理の崩壊は、軍だけでなく国家の在り方そのものを問い直すきっかけとなるはずであった。

しかし、その声が国民に届くことはなく、今のイスラエルではただただ静かにかき消されるだけなのだ。

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