「世界で最も倫理的な軍」を自称するイスラエル軍がパレスチナ自治区ガザで繰り返してきた行動には、倫理を逸脱した事例が数多く存在する。民間施設を含む容赦ない攻撃は、国内外の法律家が国際法違反の可能性を指摘している。
また、軍の綱領で禁止されているにもかかわらず、パレスチナ人を地雷探知の「人間の盾」として利用したり、破壊された一般住宅から女性用下着を取り出してカメラの前でおどけてみせる兵士たちの映像がSNSで拡散されたりもした。
■【画像】女性用下着を取り出してカメラの前でおどけるイスラエル兵士 を見る
この「世界で最も倫理的な軍」の「倫理綱領」の策定に関わったイスラエル人哲学者のアサ・カシェル自身が、このスローガンがかえってイスラエル軍の非道徳的な行為の免罪符になっていると厳しく批判する。
イスラエルでは、軍は単なる国防組織ではない。多様な言語や背景を持ち、「人種のるつぼ」にいる国民が寝食を共にしながら、兵役という共通の経験を通じて結び付く「社会」そのものであり、軍の倫理は国家全体の倫理観を映す鏡でもある。
過去には、情報機関出身の兵士が、テロと無関係なパレスチナ人の暗殺命令に異議を唱えた例もあった。このように組織内部から良心の声が上がり、自浄作用が働くのもこの国が持つ風通しの良さであり、懐の深さであった。その「良心」の延長線上にあったのがトメル・イェルシャルミの告発であった。
しかし、論点をそらした非難が飛び交うなかで彼女の訴えは押し殺され、社会の圧力に耐えかねて、11月には一時失踪に追い込まれる事態となった。